絶望的なもの。

 出勤一時間前を指す目覚まし時計。


 目覚めたばかりの私は目が開き切っておらず髪はボサボサだ。昨夜はシャワーを浴びていないから状況はいつもより悪い。

 勤務地までの所要時間はおよそ一時間。五分で髪を整え髭を剃りネクタイを締めて(ある程度フォーマルな身だしなみが求められる職場なのだ)荷物をまとめ、全力で自転車をかっ飛ばせば勤務地に向かう電車に滑り込むことは可能だろう。

 つまり不可能だ。

「三十秒で支度しな!」というドーラの言葉を思い出しながらCPU稼働率120%で身体を動かした私は、ついに不可能を可能にした。目的の電車にギリギリ乗り込んだときはひどく安堵した。しかしこの安堵がすぐ後に決定的な油断を誘うことになる。


 勤務地までの道のりは半分を電車で、もう半分をバスで行く必要がある。電車を降り、バスの停留所に据え付けられたベンチに腰掛けた所で私はすっかり気を緩め、寝起きの気分も残っていたために居眠りしてしまった。

 そして目覚めた時にはもちろん、私が乗るべきバスはとうに過ぎ去っていた。


 ♢


 私はナタデココが好きだ。私が考える最もおいしい食べ方を読者に伝授しようと思う。


 材料

 ・ナタデココ

 ・お好みの炭酸飲料(コ◯ラ等、風味の強い炭酸飲料が良いだろう)


 作り方

 1.炭酸飲料とナタデココを適当な容器に投入する。

 2.完成。

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