ファンタジー・オブ・ギャラクシー 〜転移者と仲間達の宇宙冒険ロマン〜

竜胆の星

第1話 上空の追いかけっこ

「カロロロロッ!!!」

「ひぃぃぃぃぃぃぃい!!!!!!」







 森の上を、大きな影が二つ通り過ぎた。

 その遥か上空では、その影の持ち主達の追いかけっこチェイスバトルが行われていた。

 一方は巨大な翼をもち、尖ったクチバシと頭の形をした翼竜。

 最大まで翼を広げれば、全長15mは越えようかというその翼竜は、血走った目をして獲物を追いかけていた。

 もう一方、追いかけられているのは全長35mほどの中規模。空飛ぶ船とは、実に幻想的ファンタジーな光景なはずだが、空を翔けるその帆船は、右に左に蛇行し、翼竜から逃げようと必死だった。


「プ、プ、プ、プラードンがいるなんて聞いてませんよぉぉぉぉぉぉお!!!!

 あ、安全な星のはずだったのにぃぃぃぃい!!」

「カロロロロロ!!!!」

「ひぃぃぃぃぃぃぃぃぃい!!??」


 舵輪を握って絶叫している女性、彼女はこの船のただ一人の船員だった。

 顔を涙で濡らしながら必死に操縦をしている中、後ろを見た際に、翼竜の口の中が赤く光っていることに気づき、ぎょっとする。


「ブ、息吹ブレス!?はわわわわわ!?

 よ、よ、よけないと〜!!!!」

「カロァァァァァァァァァァァァァ!!!」


 翼竜の口から放たれたのは火球。赤く燃えるその火の球は、彼女の操縦によって船体こそ捉えられなかったが、メインマストの頂上部分に着弾した。


 ドゴォォォ!!!


 轟音が鳴り響くと同時に、メインマストの先端から、光るが吹き飛んだ。

 その途端、船の高度が大きく下がり、どんどん下降していく。


「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ!!!!!」


 悲鳴を上げながら舵輪にしがみつく女性、そして何とか操縦を続けようとした際、すぐに異変に気づいた。


「え!?こ、高度が上がらない!?ま、まさかさっきの息吹ブレスで、守護星晶しゅごせいしょうが壊れちゃったんですか!?」


 彼女は大慌てで船の動力室に飛び込み、ガチャガチャと何かをし始めた。顔こそ涙でぐちゃぐちゃだが、よどみなく手を動かし、船の立て直しを図っている。


「(だ、だめっ……!予備の星晶を使っても、下降速度を緩められるだけ……落下はしちゃう!

 何より、推進力に使っている星晶を船体を浮かせるために使っているから、このままじゃプラードンに追いつかれちゃうっ…!)」


 『何か遮蔽物でもあれば……』そう思い、再び舵輪のもとに戻る彼女だったが………


「カロロロロロ!!!!」

「も、もうこんな近くに!?きゃぁぁぁぁぁ!!」


 すでに追いついてきていた翼竜の凶爪が船を、彼女をとらえ…………………ようとしたその瞬間。











 ボッ!!!



っと、そんな音がして、翼竜の胴体に


「…………………………………へ?」


 ポカンと、そんな擬音がしっくりくる顔をしたまま彼女は固まった。

 速度が多少緩まったとはいえ、船が落ちていることも忘れて……




ズドドドドドドドドドド!!!!!




 地面に船が落ちる音、衝撃で吹っ飛ぶ体、目まぐるしく変わる景色、そこで彼女は意識を手放した。




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