忘却の艦隊

第73話 ストーカー予備軍

　レイクルは尋問室から出て、上司となるミズリアに部屋に案内された。

「レイクル伍長、老朽化した艦のアップデートの任務を受けてください。あなたのアプリがダレン司令の目に留まりました。彼は、故障艦の挙動を改善するために、あなたのアプリを使います。」

　レイクルは自分のアプリが認められたことに喜んだ。

　彼女は、ダレン司令に恋をしていた。

「ありがとうございます。照準システムが故障した艦のアップデートを行います。私は、ダレン司令のために、最善を尽くします。」

　ミズリアはレイクルの恋心を見抜いて、忠告した。

「レイクル伍長、あなたはダレン司令に好意を持っていますが、それは勘違いです。ダレン司令はあなたのアプリに興味があるだけで、あなたに興味を持っていません。あなたとダレン司令の関係は部下と上司です。ダレンに対して敬意と忠誠を持つべきであって恋愛感情を持つべきではありません。ダレンに対して、妄想や幻想を持つべきではなく、現実を見るべきです。あなたはダレンではなく、もっと自分に相応しい相手を探すべきです。」

　レイクルはミズリアの言葉に傷ついた。彼女は自分の気持ちを否定できなかった。

　ぐうの音も出ず、自分の気持ちが一方的であることを認めざるを得なかった。薄々分かって入るが自分の気持ちが報われないことを悟っていた。

　しかし、レイクルは自分の気持ちを捨てることができなかった。

　今となっては自分の気持ちを隠すことができず、同じ艦で働く事になり、自分の気持ちを抑えることができなかった。彼女は、自分の気持ちを殺すことができなかった。彼女は、ミズリアに涙ながらに答えた。

「それでも私は、ダレン司令を愛しており、ダレン司令への気持ちを捨てることができません。それにダレン司令への気持ちを隠すことができませんし、この気持ちを忘れることができません。私はダレン司令への気持ちを最後まで持ち続けます。私は、ダレン司令への気持ちを最後まで伝えます。ダレン司令へ私の気持ちを最後まで受け入れてほしいと願います・・・」

　ミズリアはレイクルの言葉に呆れた。

　彼女はレイクルがダレン司令に対して狂気的な愛情を抱いていることを確信し、再度諦めるように言った。

「レイクル伍長、あなたはダレン司令に対して異常な執着を持っています。あなたはダレン司令に対してストーカーのような行動をとっており、ダレン司令に対して危険な存在になっています。しかし、私も鬼ではありません。この任務が終わり、正式に配属となった暁にはダレンと２人での食事の場を取り持ちましょう。しかし、あなたの背後にはミカ少尉が監視しますから、言質や行動に注意を払いなさい」

　レイクルはミズリアの言葉に傷ついたが、ノリコから出されたダレン司令との食事の約束に胸をときめかせた。彼女はダレン司令との食事が自分の気持ちを伝えるチャンスだと思い、気持ちを抑えて、食事に希望を持って頑張ると約束した。

　食事の話はノリコの提案だった。

　一方ダレン司令は自分の部屋で、各艦長に出す宿題を考えていた。　

　艦のアップデート２備えシミュレーションを作っていた。　

　また、レイクルのアプリ作成能力に感心し、興味と好奇心と関心を持っていた。

　レイクルのアプリを使い、故障艦の挙動や能力把握に必要なシュミレーションを作るつもりだった。

　しかし、ジャンプ中も可能な事はある。

　ジャンプ直前に設定したシミュレーション内容を各艦長に送り、取り組むようにと命じた。

　シミュレーションを各艦長に取り組ませ報告して宿題として出すように命じた。

　各艦長にシュミレーション結果をジャンプアウト時に出すよう期限和、決め、各艦長に厳しく言った。

　そして各艦長の悲鳴をよそに重力ジャンプを命じ、この星系から艦隊は姿を消した。