20話。
初めての
しかし、それにしてもだ。素体から風貌が変わり過ぎじゃないか?私が素材に使用したのはそれなりに若い冒険者達、そのうちの一人は女だ。だがこうして目の前に現れたのは、老練の執事風な吸血鬼。素体から余り離れた容姿になることはそんなにないはずなのだが……。
もっと言えば術を用いた結果も良すぎる。魔物達にはまず、種族ごとの序列がある。種族の序列における格とは、世界における存在の強度であり、世界に与える影響の強さを意味するのだが……過去の術の使用例からすれば、今回の術では良くて
などと今回の術の結果に思考を巡らせていたが、ここでようやく新たに仲間になった彼へと注意が向いた。まずい、折角
「す、すまない。折角来てくれたというのにほったらかしにしてしまったな。」
「いえ、こうして御身に拝謁出来るだけで光栄にございます。それに
……誰だこれは。本当に
ひとまず、私の簡単な紹介と、このダンジョンのこと。オリゴスを含めた
「
「ほう?生を受けて早々に自ら進言とは、素晴らしい。どのような物か聞かせてくれ。」
「はっ。現在このダンジョンを取り巻く状況をお聞きした限り、やはり我らを取り囲む環境の把握、理解が急務かと思われます。ですが見たところ
彼が白手袋を纏った指先をぱきっ、と鳴らした刹那。吸血鬼を象徴する要素である銀髪は色褪せただの白髪へと変色し、両翼はどこかへと霧散していく。こうなれば彼は一見、隠居したどこかの高貴な身分の人間、もしくはそのような地位の高い者に仕える相応の人間に見える。彼ら吸血鬼は自らが吸血鬼であることを誇りに思っている。その翼を見せないようにするとは……。
「簡単にではありますが、人間への擬態も可能ですので。宜しければ私に
……ダンジョンの、外!確かに私と私のダンジョンを取り囲む近辺の情報は必要だとは思っていたが、こちらから出向くことが完全に頭から抜けていた。勝手に向こうから
しかも情報を得るために現地人と接触することを前提にしているとは、オリゴスに続いて素晴らしい配下を手に入れることができたことが今でも夢のように思えてくる。いや、これ程までに知性や意思を持っているのだから配下、と自らの下に置くのは望ましくないか。以後はともに肩を並べて歩んでいく仲間だと思うことにしよう。
「そうだな、全面的に今の意見に同意する。では早速ですまないが、この辺りの探索をお願いできるか?」
「畏まりました。必ずや有益な情報を持ち帰りますので、吉報をお待ちください。」
「そんなに固い態度の必要はないぞ、それとその任務から帰って来たら君にも名前を付けよう。今後を共にする仲間がいつまでも名無しでは締まらないからな。」
「……!……ありがたき幸せにございます。残念ながら態度については性分でして。更には
そう言って彼は体を霧状に変化させ、跪いた姿勢を崩すことなく空気に溶けていくかのようにその場を去った。
か、かっこいい……。
彼の去り方に惚れ惚れしながら、私は新しく仲間になった彼のことをオリゴスに伝えに行くことにした。
────────
種族云々は現代生物学的な区別をすると、例えばオリゴス君は【魔物界
科の次は属だったり、細かいところは違うのですが……まぁざっくり分類の雰囲気はつかめて貰えたら嬉しいです。
本当はもっと細かく分類分けができたら嬉しいので、話が進めば個人的に拙作登場魔物図鑑(
ちなみに現在登場している種族を序列順に並べた場合、
↑数段上
こんな感じです。無理矢理人間という種族をこの序列の中に並べるとしたら、
あ、次はお爺ちゃん執事回予定です。
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