第9章 三年目
第221話 金木犀
☆★☆★☆★
「なんか胡散臭い奴が出てきたな」
「そんなん言わんといてーや。悲しくなってまうで」
「だって狐目に関西弁って、なあ? 裏切る奴の筆頭みたいな感じがしない?」
「生まれつきやねんからしゃーないやんか」
「まあ、良いや。これからよろしく頼むよ」
「こちらこそよろしくたのんまっせ。まあ、ワイは戦闘はからっきしやけどな」
☆★☆★☆★
「んん? アーノルド・ネルツァー。住所は※※の※※で〜」
「おいおい。お前は犯罪だらけだな。武器の横流しに、麻薬とやりたい放題じゃないか」
「ほほー。こいつ表向きはFBIなのにテロリストなのか」
コメント
・なんだなんだ?
・急に個人情報が?
・な、なんでそれを…っ!?
配信してると香ばしいコメントが増えてきた。馬鹿だなぁと思いながら、無視してたんだけど、どうせなら新人のお手並みを拝見しようと、ちょっとお願いしてみた。
するとこれだ。次から次へと個人情報を入手してくれる。やはりこいつもチートキャラだったらしい。ガチャから出てくる奴はみんなそうだ。今回は非戦闘員だったけどね。
「もうちょいスペックのええやつを用意して欲しいわ。時間が掛かってしゃーないで」
俺は機械音痴だかこれでも凄いって思うんだけど、当の本人は納得がいってなさそう。パソコンをポチポチしては個人情報を抜くその手並みは素晴らしいと思うんだけどな。
「なんか香ばしいコメントがなくなったな。なんでだろ。不思議」
コメント
・ひえっ
・そういう事…?
・あーあーご愁傷様です
・なんか使徒様の家から聞いた事のない声が
俺が香ばしいコメントをした奴の個人情報を晒していくと、ぱったりとそういうのが止まってしまった。
ちょっと脅されたくらいでやめるなら最初からするなよな。ネットだから大丈夫、特定されないとか思ってるからこうなるんだ。
これを面と向かって言うなら、逆に根性があるなと認めなくもないけど。
さてさて。
そろそろ皆さんもこの関西弁は一体誰なんだと思ってる事でしょう。
簡単に紹介させてもらうと眷属ガチャのキャラだ。
俺が中国から帰ってきて数日。公英や陽花を召喚してから一年が経ったらしい。ならガチャガチャするかということで。神田さんも呼んで、みんなで新たな仲間を迎えた訳だ。
で、出てきたのが、黒髪のおかっぱみたいな感じで、狐目の関西弁で滅茶苦茶胡散臭いやつ。漫画やアニメで出てくるこれぞ裏切るキャラって感じの奴が出てきた訳だ。
名前は
また花というか植物に関連する名前で登場である。
「さい君だ〜!」
「桜ちゃんうぇーい!」
ガチャで出てきて俺が散々胡散臭いと言った後、こいつはあっさりと桜達と打ち解けた。
ってか、やっぱりこいつらなんか知り合いっぽいよなぁ。なんか距離感が初対面って感じがしない。桜なんて陽キャみたいな挨拶してるし、公英や陽花が出てきた時もそうだった気がする。
一体どういう繋がりなんだろうね。いつか話してくれるのかしらん? 俺から聞いても良いけど、なんか地雷を踏んだりするのも嫌だし。
もししんみりした空気になっても、俺がそこからリカバリー出来る自信がない。まあ、なんとなく予想はついてるけどさ。
で、その日のうちに犀の歓迎会をして、ギルド事務所を案内したり、俺が現代に帰ってきてからの二年でやった事を説明したり。
なんやかんや慣れてきて今日。
特に理由もなく配信をして、なんか香ばしいコメントが出てきたから、丁度良いし、お手並み拝見って事で働いてもらった訳だ。
便利な能力で羨ましい。本人は戦えないって言ってるけど、これも立派な攻撃手段だと思いますよ。
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