第184話 中国
「ファックユー。一昨日きやがれ」
アメリカからのメールをスパッと返信。
メールには長々と書いてたけど、簡単に言えば非常識な事したんだから、さっさとアメリカのも攻略しろよって事だった。
アメリカを無視してイギリスに行ったのがよっぽど腹に据えかねてるらしい。
そんなの知るかって話だ。俺はアメリカの要請をOKしたつもりはないし。どこに行こうが俺の勝手でしょうよ。
そりゃアメリカの狭間は攻略しないとやばいなーとは思ってるけども。
それで俺が下手に出る事はないね。
「お疲れ様〜」
「にゃにゃ!」
ギルド長として数少ない仕事を終わらせた後、家に戻ると桜はポテと遊んでいた。
糸操作のホーミングの練習がてら、ポテをおちょくってるみたいだ。猫ってちょこまか動くモノが好きだよねぇ。
「他のみんなは? 陽花はラウンジで見たけど」
「七海ちゃんは両親にお土産とかを渡しに行ったて旅行の話をしてくるって言ってたよ〜。たんぽぽちゃんは警備員のところだね〜」
ふむ。
車屋さんにでも行こうかと思ったけど、今日はやめとくか。
「にゃにゃ」
「ん? なんだ?」
ポテがゴロゴロ言いながら甘えてくる。
1ヶ月ほど空けたのがそんなに寂しかったか? ここ最近は頻繁に海外に行ってるからなぁ。ギルド員に面倒は見てもらってるんだけど。
「とりあえずクラーケンのスルメをあげよう」
「にゃふー」
可愛いのぉ。
アメリカとかバチカンもこれぐらい可愛かったらなぁ。世の中平和になるのに。
「うわっ」
「中国の部隊が壊滅〜? 順調って言ってなかった〜?」
翌日。
朝起きて、TKG with 納豆を食べながらニュースを見てたら、速報が流れてきた。
順調に攻略してる筈だった、中国の軍属探索者の部隊が壊滅したらしい。
「人海戦術で、人員の損耗なんて関係ねぇって感じで進めてるんじゃなかったっけ? 今更部隊が壊滅って言われてもふーんとしか思わないんだけど」
「無視出来ないぐらい死傷者が出たとか〜?」
ふむん。
ニュースの通り、順調に攻略してたなら、ボスにでもぶち当たったか。
モブはまだ数でなんとかなるかもだけど、ボスは厳しいかもしれないからなぁ。中国は情報統制が厳しいから、狭間にどんな魔物が出てきてるのかは知らんが。
でも禁忌領域ではないし、漫画の主人公みたいに誰かが覚醒とかしたら、攻略出来るんじゃないかと思う。まあ、そんなご都合主義なんて滅多に起こらないけどさ。
何回も死線を潜り抜ければワンチャンあると思います。その前に死んじゃうのが大多数だけど。
「どうするの〜? 万が一中国から攻略要請が来たら〜」
「行きたくないなー」
「うなー」
ポテを撫で回しながら、ため息を吐く。
中国と日本の仲は最悪だ。あそこが、日本所属の探索者に攻略要請なんてしてくると思わないが、ちゃんとした条件で要請してきてなら行かないといけないだろう。
中国とインドにだけは行きたくないんだよなぁ。なんかもう国として色々ダメでしょと思っちゃう。
インドは今回狭間が出現してないから、行く予定はないけど、あそこはある意味中国より酷い。
俺が異世界に行く前でも酷かったのに、100年経ってそれに拍車が掛かってる。
馬鹿で勉強出来ないあの時の俺でもインドはダメだって知ってたぐらいだ。
「日本に生まれて良かった」
「上級国民との差は大きいけど〜それでも他国に比べると安全だよね〜」
それな。
安全が1番良い。
命あっての日常生活だから。
100年ぐらい前は、税金だけ上がって給料が上がらないっていう、クソみたいな政策ばっかりみたいだったけど。増税くそメガネとか呼ばれてる総理が居た気がする。
今はそれに比べるとマシな方だ。
俺が狭間を攻略しまくったり、ブートキャンプをしたりで、日本は一種のバブル期みたいになってる。弾けないようにしてほしいね。まあ、俺は政治の事は全然分からないので、あんまり関わろうとは思わないが。
狭間を攻略したり、探索者を育てたりして、間接的に手助けするぐらいかな。
それで充分でしょ。
「はぁ。中国ばっかりは意地張って自分達で攻略するって言ってくれる事を祈る。死にに行くような軍属の方々には申し訳ないけどね」
「私達が行っても歓迎されるとも思わないしね〜」
それな。
絶対何かしら厄介な事が起こるに決まってる。中国も行ってみたい観光スポットはあるけど、面倒事が起こるって分かってるのに行くほどではないかな。
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