第83話 散財


 協会でその後も色々話してようやく帰宅。

 フランスの協会の人ともテレビ電話で軽くお話しした。

 向こうは俺がフランス語をペラペラ喋るのに驚いてたみたいだけど。転移者特典の言語理解万歳。


 「ポテちゃ〜ん。ただいま〜」


 「にゃーご」


 俺達が帰ってきた事を察知したポテが擦り寄ってきた。今日はベッドの上じゃなくて、キャットタワーの一角で遊んでいたけど。


 「向こうに着いた後の面倒事は全部フランスサイドが請け負ってくれるらしいし、やる事は荷造りぐらいか」


 ホテルの手配やら移動手段も全部向こうがしておいてくれるらしい。

 至れり尽くせりな対応に自分がセレブになったと勘違いしてしまいそうになるね。


 「ポテちゃんはどうしようか〜?」


 「ふむん。ペットショップに預けるのが無難だろうな。流石にフランスに連れてはいけないし、もしかしたら転移で戻ってくる暇がないかもしれん」


 「離れ離れか〜。寂しいな〜」


 致し方あるまい。ペット海外に連れて行くのには色々と手続きが必要なんだよ。

 今スマホで調べたんだけど。検疫やら予防接種やら書類手続きも多いみたいだし。

 今回は急ぎだし、そんな事してる暇ないんだよね。


 「って事でペットホテルを予約しました。明日連れて行くぞ。その帰りに荷造りに必要なものを買おう」


 「いやだ〜! ポテちゃんと離れたくな〜い!」


 桜さんが駄々っ子になってしまわれた。

 ふむぅ。なら桜はお留守番しますかな?


 「フランスにも行きた〜い!!」


 「小学生かよ」


 結局泣く泣くポテに別れを告げていたけど。


 「ポテちゃ〜ん。あたしの事忘れないでね〜」


 「にゃごにゃご」


 ポテは頬擦りしてる桜の頭に足でポンポンと叩き、当たり前だとばかりに頷いた。


 「ねぇ? ポテ、賢すぎると思うんだけど? 人間の魂とか入ってないよね?」


 明らかに俺達の言葉を理解して行動してるんだけど。猫ってこんなに賢いの? ペットを飼った事ないから分かりません。





 翌日。珍しく俺達は朝早くから行動を開始した。

 まずはポテをペットホテルに連れて行く。

 一応、予定は長目に一ヶ月にしたけど、そんなにかからずに帰ってこれるだろう。

 向こうで軽く観光してくるかもしれないが。


 「ふぐぅ〜。ポテちゃ〜ん」


 買い物をする為に銀座に車を走らせている。

 この機会に服やらなんやらを一通り揃えておこうかと思ったのだ。

 鞄とかはアイテムボックスやらマジックリングがあるからいらないけど、クローゼットとかも大きいのが用意されてるしね。

 恥ずかしくない程度に埋めておきたい。


 「ほらほら。泣き止みなさい。一ヶ月なんてすぐよすぐ」


 「うぅ〜。爆買いしてやる〜」


 鬱憤は買い物で晴らすらしい。

 まぁ、それもありだろう。

 フランスからジェットを貰える事になりそうだし、お金を貯めておく必要があんまりなくなったからね。向こうに行けばどうせ狭間で稼げるし。




 「って事でやってきましたー! ブルガ○!」


 「うぇ〜い」


 まだテンションが低めだけど、徐々に回復してきてるな。よきよき。


 「天魔君が一番好きなブランドです」


 「ヴィト○とかじゃないんだね〜」


 あのリングがオシャレでね。

 シンプルながらも美しいデザイン。

 素晴らしいと思います。



 「し、使徒…織田様!? ようこそいらっしゃいませ!」


 お店に入ると、店員がびっくりした様な顔で慌ててやってきた。

 使徒様って言いそうになってたな。気にしないけど。


 「本日は何をお求めで…?」


 「すみません。決めてないんです。目に付いた良さげな物をどんどん買わせてもらいますね」


 第1回! 『シークレット』散財祭りの開催じゃい! 金はある! 好きな物を買うぞ!


 あ、この長財布欲しい。

 留める所がリングになっててオシャレ。

 これ、下さい。


 あ、この時計欲しい。

 周りがリングになっててオシャレ。

 これ、下さい。


 あ、このネックレス欲しい。

 とにかくリングがオシャレ。

 これ、下さい。


 あ、このキーリング欲しい。

 しつこいけど、リングがオシャレ。

 これ、下さい。


 「ふぅ。流石にブル○リ。購入意欲が刺激されまくりだぜ」


 この間5分。一息に散財。

 でも俺はまだ止まんねぇぞ! やると決めたらとことん散財!!

 漢の生き様!! 見せてやるぜっ!!


 あ、このサングラス欲しい。

 リングは見当たらないがとにかくオシャレ。

 これ、下さい。


 あ、このピアス欲しい。

 シンプルなリングでオシャレ。

 穴は開いてないけど、開けますね。

 これ、下さい。


 あ、このスーツケース欲しい。

 アイテムボックスがあるとはいえ、海外にいくならコロコロを転がしたい。

 ワンポイントのリングがオシャレ。

 これ、下さい。



 「だんちょ〜攻めるね〜」


 そういう桜もかなり買ってる。

 一回火が付くと止まらないね。

 散財楽しいっすわ。


 その後も服やら何やらをとにかく買って行く。

 仕立てたばっかりなのに、スーツもまた買っちゃった。なんかオススメされちゃったから。

 ブ○ガリ大好きだし良いんだけど。


 オーダーメイド品で生地や刺繍などを話し合い完成までは一ヶ月ほどかかるそう。

 能力持ちが作業にあたるらしく、かなりの品が出来上がるとの事。楽しみに待っていよう。



 「ひゃっはー! 次はプラ○に行きます!」


 「だんちょ〜が良い感じに馬鹿になってきたね〜」


 こうなったら色んなブランド店を回ってやらぁ!

 グッ○やらヴィ○ンにも行ってやるぜ!


 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る