第72話 続・新居


 来客用のラウンジスペース。

 初っ端から大満足な仕上がりに織田天魔君のテンションは爆上がり。

 正直、ここにベッドさえ置けばそれだけで住めるよね。


 「もう満足。俺はここに住むぞ」


 「じゃあ残りの部屋はぜんぶあたしのね〜」


 ちょっと。冗談じゃないか。

 なんでそんなつれない事を言うのかね。


 「にゃ〜ご」


 新しく買ったキャリーバッグの中から、ポテが顔出してキョロキョロしている。

 きゃわわ。ここが新しいお家でちゅよー。


 「だんちょ〜。それは流石に気持ち悪いよ〜」


 「すみません」


 すみません。




 では、気を取り直して次の部屋へ。

 ラウンジの奥にある扉を開けると、リビングルーム。

 馬鹿でかいテレビがドンと置いてあり、その周りには黒色がメインの高級ソファやテーブル。

 他にも、飯を食べるダイニングテーブルが部屋の内装を損なう事なく置いてあり、ラウンジとは比べ物にならないぐらい豪華なキッチン。


 「俺と桜は料理しないんだけどな」


 「なんかノリだよね〜」


 このリビングからは基本的に俺と桜、後は眷属ガチャで出てきた奴しか入れないようにしようと思ってる。

 プライベートスペースは気を抜きたい。そこまで親交が深くない人がいると、休めないからな。

 俺は素がこんなんだし。


 「うわっ! ゲームいっぱい!」


 「織田さんがお望みの古いタイプのゲームから最新のモノまで全て揃えてありますよ」


 「ありがとうございます!」


 テレビの近くにはゲーム棚が用意されており、俺が異世界に行ってから今までのゲーム機が設置されてあった。


 「多いね〜。ゲーム部屋を作れば良かったのに〜。漫画部屋は作ったんでしょ〜?」


 それは迷ったんだけどな。リビングでみんなでワイワイするのが楽しいかと思って。

 一人でやると寂しいし。転生前は一人用ゲームで遊んでたのがほとんどだったから。


 因みに漫画部屋は作った。漫画やらラノベやらがずらりと並べられた図書館みたいな部屋だ。

 部屋には一人掛けソファ多人数用のソファ、テーブル、冷蔵庫が置いてあり、住もうと思えば住める。トイレもあるしね。


 「19階は主に共用スペースが大半を占めてます。次をご案内させて頂いても?」


 「お願いします」


 リビングの真ん中には螺旋階段があって20階に上がれるようになっている。

 20階は寝室というか、個人の部屋を用意してるだけだからな。


 そこは後で紹介するとして、お次はバルコニーへ。ここは俺と桜がこだわりました。


 「うわ。すげぇ。マジで庭みたいになってるじゃん」


 「実現させられるもんなんだね〜」


 20階のスペースを削って、ここだけ外に剥き出しの場所になっている。

 マンション住みなのに庭が欲しいってわがままを言ったらやってくれたんだよね。

 ほら。パリピみたいに外でBBQとかしてみたいなって思って。

 でも、わざわざ外出してまでやりたくない。

 なら、家に庭を作っちゃいましょうって事で、ノリノリで提案してしまった。


 「天然芝を入れてるので、手入れにはかなり手間がかかりますが…」


 「ふはははは! 金の力で黙らせる!」


 「ひゅ〜! 嫌味な成金〜!」


 マジで稼がないと。

 もう2.3個ぐらい3級の狭間を落札しておこうかな。それか海外まで行って2級を攻略するか…。

 あ〜。1級の狭間が10個ぐらい同時沸きしてくれないかな。お金欲しい。


 「季節次第ではここで寝れるな」


 「ここでなんちゃってキャンプとかしてみた〜い!」


 「にゃにゃ!」


 キャンプ。いいね。パリピっぽい。でもあれは動画で見るから楽しいんだよな。

 俺はどうしても後片付けの事とか考えちゃって素直に楽しめない。

 グランピングとかならいいのかね。


 「おぉー。目を輝かせちゃって」


 大人しく顔だけを出してキョロキョロしてたポテだけど、庭を見た瞬間テンションが上がったみたいだ。

 一応、落下防止の為に馬鹿でかい柵は設置してあるから、放し飼いにしても大丈夫だろう。

 猫の跳躍力は馬鹿にできないから、すこし様子を見つつになるけど。


 お次はお風呂へ。

 その手前に洗濯機を置いてる所や、エントランスホールばりにでかいメイクルームもあったけど、割愛。ここは主に桜さんがこだわって作っていた。

 女性の化粧用品やらその他諸々を置いておく所だな。

 まだまだ数は少ないから、今度の買い物で爆買いしようと思っているらしい。

 俺のスキンケア用品も置いてあるけど、俺は簡単にしかしないから。

 本当に少ししか置いてない。


 「わは〜!」


 「素晴らしい」


 全面ガラス張りのジャグジーバス。

 五人ぐらいが足を伸ばしてくつろいでも余裕があるぐらい大きなお風呂で、窓から外の景色も見れる。20階建てとそんなに大きくないけど、夜景を楽しめるだろう。


 「博多で泊まったラブホを見て欲しいと思ってたんだよな」


 「家にあるって幸せ〜!」


 お風呂は命の洗濯とも言いますし。

 こだわりぬいて当然だと思うんですよね。

 俺は自体長風呂するのも好きだし。


 「って事でテレビも設置してあります。ここで映画鑑賞とかも出来そうだな」


 「あ〜! あそこに冷蔵庫も置いてあるじゃ〜ん!」


 そりゃ当然よ。

 優雅に飲食しながらお風呂で映画鑑賞。

 んーリッチっぽい。


 「サウナもちゃんとあるね〜」


 「俺は苦手なんだけどな」


 サウナは桜さんの強い希望で設置した。

 俺は苦手というか、癖で反転を使ってしまう。

 常に使ってるから解除するのに抵抗があるんだよね。俺の最終防衛能力だし。

 って事で、俺はあまり活用する事はなさそう。


 「ここまでが19階の全容になりますね」


 「むふぅ。大満足」


 ここで19階は終了。

 ワンフロアぶち抜きにしては施設とかが少なめだけど、その分全ての場所が広めになっている。

 半分は庭を作ったせいでもあるんだけど。


 「庭は虫対策も必須だよね〜」


 「そこは任せてくれ。丁度良い魔道具があるんだ」


 一応森暮らしのカリエッティをしていたので。

 異世界で魔道具師に、そういう魔道具は作ってもらってるんだよね。

 後で設置しておきます。


 さーて。お次は20階の個人スペースだな。

 そこは主に寝室だからサラッとした紹介にはなるんだけど。

 


 

 

 

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