第57話 嫉妬
「なんか複雑な顔してるね〜」
「まぁね」
あの魔王に負ける前の俺を見せつけられてるようで吐き気がするわい。
だから最初から老害の事が嫌いだったんだろうな。
「それでどうするの〜? 消すのはやめたんでしょ〜?」
目の前で泡を吹いて倒れてる老害。
俺のエンジェルフィンガー、通称デコピンをかましてやるとそれだけでKO。
まぁ、曲がりなりにも3級攻略者。まさか三発も必要になるとは思ってなかったぜ。
手加減が難しいから仕方ないんだけど。
「桜って蛇とか爬虫類チックな見た目大丈夫な人?」
「急になに〜? 多分大丈夫だと思うけど〜?」
「いや、大丈夫なら良いんだ」
俺がこれから憑依する悪魔はちょっと見た目がね。人によっては苦手な人もいるから。
「
俺は初めてこの悪魔に憑依した時はテンション上がったんだけどね。
こんな異形にもなれるのかと。
「反転せよ」
でもだよ。女の子ウケが悪いんだ、これ。
異世界では悪魔への憑依も普通にやってたから、姿を見られた事は何回もあるんだけど。
こぞってみんな離れていったよね。
「
天使みたいにさ。なんか無条件にみんなが好印象を受ける見た目にして欲しかったよね。
悪魔にそんな事を求めるのは間違ってるんだろうか。
「ん〜? へ〜?」
「なんだその反応は」
「いや〜。その姿はどこに需要があるのかなって思っちゃって〜」
なんでや! 特殊性癖の人だって居るかもしれないだろ! 男のラミアからしか取れない栄養だってある人が世の中には探せば居るんだよ!
俺の
それは半人半蛇の姿だった。ラミアの男版って思ってもらったらいい。
俺はそれなりに気に入ってる姿なのだが、何故かウケが悪い。男は誰しも異形に変身するのに憧れると思うのだが。
異世界では国によっては討伐対象にされた事もあるな。まぁ、見た目が見た目だから。仕方ないかなと思う所もある。
「うわ〜! 蛇の所の鱗すべすべだ〜! だんちょ〜! ちょっと動いてみてよ〜」
「ちょっと。くすぐったいから、あんまり撫で回さないで」
因みに大きさは全長で3mぐらいになる。この姿でも勿論戦えるが、わざわざやろうとは思わないな。
「それで〜? この悪魔さんの能力はなんなの〜?」
蛇の体部分に跨り、ペチペチと叩きながら聞いてくる桜さん。気に入ってくれてなによりです。
「精神操作。簡単に傀儡を作れる能力だとでも思ってくれ」
「?
「簡単なのはな。こっちはやろうと思えば人格を一から作り直す事も出来る。そこまでは面倒だからやらないけど」
異世界でも何人かに使ったなー。殺したいけど、タイミングが悪い時とか。こいつが居なくなると多方面に影響を及ぼす場合とか。
ムカつくのに殺せないから、精神を弄って傀儡にして動かしたのはいい思い出ですな。
まぁ、条件も一応ある。といっても些細な事だが。
「気絶してる相手とか、意識がない相手にしか使えないんだよね。まぁ、だから老害を気絶させたんだけど」
「へぇ〜。悪魔さんって多芸だね〜」
「扱いは面倒だけどな。一番言う事聞かないのは
慣れるまでにどれだけ時間がかかったか。
でも一番扱いが面倒なのは
あれは憑依すると途端にやる気が削がれていくから。初めてあれに憑依した時は丸三日ぐらいベッドから動かなかった。
空腹に殺されるかと思ったね。
「って事でちゃちゃっとやっちゃいますか。早く帰って北海道観光の続きもしたい」
「今日は弄るだけで帰るんだよね〜?」
老害さんには生き恥をかいてもらいませんと。
ちょっと精神の弄り方が特殊だから良い塩梅でやらないとね。
なんとかお茶の間に話題を提供してほしいもんです。
「そんな感じなんだ〜? うわ〜。よく見たら蛇みたいな目をしてるんだね〜? あ〜! 舌が二又になってる〜!」
ちょっと。繊細な作業をしてるんだから、静かにして下さい。
後で好きなだけ見せてあげるから。
「しかし…ふむ」
考えた事もなかったけど、この姿のままおせっせしたらどうなるのかね?
うーむ。今度試してみるか。
そんな事を考えながら、精神を弄ってたからちょっとミスったかもしれない。
いや、多分大丈夫。そう。大丈夫。
「なんか怪しいけど、まぁ良し! 帰るぞ帰るぞ」
「旗を建ててる自覚ある〜?」
旗? なんの事か分かりませんねぇ。
そんな物とは無縁な生活を送ってきた故。
「まぁ〜何かあっても困るのはだんちょ〜だから良いけど〜」
よーし。帰還帰還。
屋敷内にいる連中の記憶を消してずらかるべ。
それから俺は
怯えてた人達には申し訳ない事をしました。まぁ、忘れてるだろうけど。
荷造りしてどこかに行こうとしてた人はなんか媚びた目で見てきて気持ち悪かったので、一発殴っておいた。
髪の毛がバーコードハゲになる呪いもかけておいたので、将来は苦労するだろう。
なんとか解呪出来る人が見つかるといいね。
俺の呪いを解呪出来る人がいるならスカウトしたいぐらいだけど。
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