第2章 日常の日々
第29話 地震に負けない
公約通り、1週間引きこもってやった。
まだまだ引きこもれたが、桜が暇暇うるさいのと、待望の連絡があった事から引きこもり生活は終わりを迎えた。
「初めてまして。『地震に負けない』のギルド長をしております、芦田と申します」
「副ギルド長の鈴木です」
「どうも。『シークレット』の団長をしてます、織田です」
二人しか居ない、零細ギルドですが。
こういうお堅いお話が嫌いそうな桜さんも、今日はワクワクと楽しみにしている。
改装したいって言ったのは君だもんね。
「今、大人気の織田さんから依頼が来るとは思ってませんでしたよ。協会から連絡があった時は嘘なんじゃないかと、何回も確かめてしまいました」
キラキラした目をして、鼻息荒くお話をしている芦田さん。歳は結構召してるみたいだけど、少年心は忘れていないらしい。
後でサインも頼まれてしまった。
「協会からも信頼が厚くて、依頼が中々出来ないって聞いてたんですけど、大丈夫なんですか?」
「全然大丈夫です。色々な作業を前倒しして片付けてきましたので」
「それはありがたい。で、お願いしたい事なんですけど--」
それから、桜の要望も交えつつ色々な話をした。
どんな能力で、どこまで出来るか分からないので、とりあえずこのダラダラしてた1週間で、桜とこんな機能が欲しいだの、この施設は入れたいだの、適当に書き殴った物を芦田さんに見せる。
紙を見た芦田さんと鈴木さんは、最初は驚いていたけど、段々と楽しくなってきたみたいで、ああでもないこうでもないと、気付けば3時間程話していた。
「正直、かなりのお金が掛かりますよ?」
「1級を三つも攻略したから、お金はなんとかなりますね。狭間素材も取りに行こうと思えば行けるので」
「あ、材料をそれなりに用意出来るなら、値段も抑えれそうですね」
まぁ、狭間に入っても目当ての系統の魔物が出るかはランダムなんだが。
それでも万能エネルギーの魔石はしこたまあるし、多少は安くなるだろう。
「まだ、あくまで大体の見積もりですが、最低これぐらいにはなりそうですね」
「うわ〜。ゼロがいっぱ〜い」
ふむん。最初の1級の素材を売ったお金で賄えるな。ここから、家具やら、生産施設等の設備を最高級の物にしたら更にお金は掛かるんだろうけど。
「工期も結構かかりますね。まぁ、20階のマンションをほぼ丸ごと改装するんだから、早い方かな?」
「そうですね。他ならぬ、織田さんからの依頼ですから。我々ギルド員全員を使って総動員で最高の作業をさせて頂きます。それでも、半年は間違いなくかかりますね」
早い方なんだろう。知らんけど。能力も使うんだろうし、完成が今から楽しみだな。
「事務所デザインは外注になりますが、ご希望等はありますか?」
「芦田さんが懇意にしてる所にお願いするんですよね?」
「ご希望がなければですが」
政府から仕事も任されたりするギルドが懇意にしてる所なんだし、腕も確かだろう。
正直、デザインがどうとか、俺はあんまり詳しくないし、大体のイメージを伝えたら良い感じにしてくれるだろう。
あ、居住区の家具配置とかも、全部お願いしようかな。こういうのはプロに任せるに限る。
「じゃあ、お願いします。アポはお願いしても?」
「勿論です。次回の相談の時に一緒に来ますね」
その後も、いつから始めるか等を相談して、解散。近い内にデザイナーも交えての話をする事になった。
「んふふ〜。楽しみだね〜」
「そうだな。桜が言うまで、改装とかに興味は無かったけど、いざ話し合うとワクワクしてくる」
「工事してる間はどうする〜? 前に言ってた旅行でもするの〜?」
どうしようかね。学校に冷やかしに行きつつ、そのご当地を観光するってのが面白そうか。
後、せっかく生産設備も入れるんだし、そういう能力を持った人間のスカウト。
後は、事務所を任せられる中間管理職的な人材に、事務員やら、居住区のハウスキーパー等も欲しいな。
「およ? 結構やる事あるな?」
「こういうのは〜一気に解決するんじゃなくて〜一つ一つ順番にやっていくのがいいんだよ〜」
ふーむ。なら、何から手をつけるべきか。
学校に行っても、とりあえず戦闘系には今の所興味ないしなぁ。もう少し、俺の周りが落ち着いてから指導はしたいし。
学校に生産能力持ちは少ないみたいなんだよな。
生産能力を持ってる人間は、能力者学校に行かず、そのまま専門のギルドに入るらしいし。
「俺は絶対に生産系能力者用の学校も作るべきだと思うんだけどな」
「どうしても戦闘系が優先してされがちだよね〜」
そう考えると、スカウトって難しいな。
どうやって探せば良いんだ?
「配信でもしてみる〜? 生産系能力求む〜って〜」
「有象無象に群がられそうなんだが」
「そこは面接して弾くしかないでしょ〜? だんちょ〜は〜1級を攻略して貴重な素材をいっぱい持ってるんだし〜。それを餌にすればそこそこ集まると思うんだけどな〜」
ふむ。面接は面倒だけど、案自体は悪くなさげ?
配信なんて何したら良いか分からないんだけど。
「そこは私に任せてよ〜。SNSでも色々質問とかが来ててさ〜。この機会にまとめてやっちゃいたいんだよね〜」
「じゃあお願いします」
適当に質問に答えつつ、色々な人材を募集しますかね。この機会に大量雇用しよう。
金ならあるんだ。ふはははは!
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