第14話 続・話し合い


 動画を見てもらって思ったんだけど、これ以上話す事なくない?

 事実なのは協会の人なら分かって貰えただろうしさ。あ、素材の売却があるか。


 「貴重な映像をありがとうございました。それで、こちらは公開される予定ですか?」


 なんとか正気に戻った朝倉さんが、聞いてくるけど、公開して欲しくない感じ?

 俺はどっちでも良いけど、公開しないと信じない奴がいると思うんだよね。

 いや、公開しても信じない奴はいるだろう。

 老害とかな。どうやって社会的に抹殺してやろうか。


 伊達さんは、既にもうキリッとしてる。

 なるほど。隠れオタクタイプか。

 これなら、表立って俺には執着してこなさそうだな。


 「その、こういう聞き方は良くないんですが…。織田さんに取って1級攻略とは簡単なものなのですか? 映像を拝見したところ、まだ余裕がありそうでしたので…」


 「まぁ、はい。あれぐらいなら」


 「な、なるほど。それでしたら一つご提案というか、お願いがあるのですが」


 むむ? なんだ? 世界中の狭間を攻略しろとかいうのはお断りだぞ?

 地球の女神の意にも反するしな。


 「えっと? 無茶苦茶なお願いでなければ検討しますが?」


 「この映像を公開すると、大体の人は1級攻略を信じてくれるでしょう。しかし、それでも信じない人はいます。そこで次の1級攻略に、協会の人間を一緒に連れて行って貰えないでしょうか? 協会の方で責任を持って撮影し、それを事実だと公表する。そうすれば、どうしても信じたくない層以外は大人しくなると思うんです」


 ふむ? 要は協会の人間を守りながら攻略しろって事かな?

 まぁ、邪魔しないならそれぐらいは良いけど。

 特に手間でもないし、桜もある程度護衛出来るだろう。

 それに、提案自体は悪くない。協会の保証があるっていうのは、この世界では大きな意味がある。


 「それにですね。このまま織田さんが、日本全部の1級を攻略されますと、間違いなく特級探索者になると思います。その時の煩わしい申請等も省略出来ると思うのです」


 俺が考えてOKしようと思ってたら、沈黙は肯定ではなく、否定だと思ったのか、朝倉さんは焦りながら更に提案してくる。


 「特級探索者って、なって良い事あるんです?」


 「まず、税金の優遇ですね。これは等級が上がる毎に優遇されていくのですが--」


 「やります」


 おっと。食い気味にOKしてしまった。

 俺が今一番気にしてるといっても過言ではない、税金を優遇ですってよ。

 そんなのやるに決まってるじゃん。


 「そ、そうですか。他にも色々ありますがお聞きになりますか?」


 「お願いします」



 そこから、話を聞くと中々優遇されてるね。

 俺は税金優遇だけでやる気MAXだけど。

 まぁ、人類の危機になれば最前線で働く事になるんだからさもありなんって感じ。

 命令拒否も出来るみたいだけど、ひどかったら剥奪もされるみたいだね。

 しょーもない依頼はどんどん拒否しよう。

 国からの依頼も嫌だったら、協会が間に入って拒否ってくれるみたいだしね。

 狭間崩壊で危ないとかなら助けるけどさ。


 「って事は、素材は特級になってから売った方がお得ですかね?」


 「私どもとしては、いち早く売って欲しい気持ちはありますが…。そうされた方が良いかもしれませんね」


 朝倉さんは残念そうだけど。

 俺がもし攻略に失敗したらおじゃんだもんね。

 仕方ない。アンデッドの素材は大した事ないし、今回は先に売ろう。

 事務所と家の改装の頭金ぐらいにはなるだろ。


 「本当ですか!! ありがとうございます!」


 特権貰うなら、最初ぐらいはサービスしとかないとね。

 これで調子に乗ってこられたら困るけど、朝倉さんは大丈夫そうかな。


 既に、見積もり担当を下で待機させていたらしく、呼んでいいかと言われたので了承する。


 「憑依ポゼッション:慈悲ミカエル忍耐アズラエル


 空間魔法から素材を出さないと、と思って憑依を使う。


 「んまぁ!!」


 ここまで静かに交渉を見守ってた、伊達さんが俺が憑依した瞬間に素っ頓狂な声をあげ、キラキラした目で見てくる。

 この人は隠す気があるのかないのかどっちなんだろうか。

 出来れば隠したままの方がありがたいんだけど。


 俺はなるべく伊達さんを視界に入れないようにして、空間魔法からドロップ品をどんどんと出していく。

 ちなみに宝箱は、魔法効果のついた斧だった。

 全然いらない。ってか、そういうのはもっと効果の良いのをいっぱい持ってる。


 「これで全部ですね」


 「こんな大きな魔法石がこんなに沢山…」


 万能エネルギーだから魔法石はやっぱり重宝されるんだろうな。

 大きくてもそれを加工できる職人とかいるのかな? 日本は物作り得意だしいそうだなぁ。

 この骨とかもさ。錬金でそこそこ使えるんだけど、この国の職人達はどんな使い方をするんだろうか。


 やって来た査定担当員が、素材の質に驚きながらも査定していく。

 あ、そうだ。ついでだから聞いてみよう。


 「建築系の能力持った人っていますか? ここを色々と改装しようと思ってるんですけど」


 能力がある世界なんだ。

 そういった大工ギルドが出来ててもおかしくないと思うんだよね。

 能力持ちにやってもらうと、高額だけどかなり早く出来るし、質も全然違うからね。


 「ええ。『地震に負けない』というギルドがありますね。料金は高額ですが、その額に恥じない仕事をしてくれると評判ですよ。政府の重要施設も建てた事があった筈です。宜しければ、ご紹介しましょうか? 現在仕事が入ってるかどうかは分かりませんが、面識はあった方が良いでしょう」


 「ありがとうございます。是非お願いします」


 朝倉さん、マジで出来る人だな。

 こんな秘書が欲しいぜ。

 うちの桜さんは途中で飽きたのか、グースカと寝てらっしゃるからな。

 大物すぎるぜ。



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