第5話 探索者組合へ
チュンチュンチュン。
良き朝である。
桜と夜のプロレスを興じたせいもあるだろう。
作られた人間が〜とか言ってたくせに、いざ女を目の前にすると盛りついた猿になる。
俺は控えめに言ってもクソ野郎だろう。
「ま、まぁ、他の部屋にはベッドとかも無かったしな! 不可抗力ってやつよ!」
「……zzz」
ベッドの方を見てはいけない。
またプロレスしないといけなくなる。
とりあえずシャワーを浴びよう。
「どぅえ!?」
「どしたの〜?」
少し時間が経ち、桜も起きてきて朝ごはんを食べながら、資料の続きを読んでたんだが。
どうやら、このマンション? ビル?
丸ごと俺の物だったらしい。
そりゃ、びっくりするよね。この部屋だけだと思ってたんだもん。
窓から見た感じ、中々の都会に居ると思うんだけど。
「これ、税金とかやばいんじゃないの? 固定資産税とか? 詳しくないから知らんけど」
「あはは〜。稼がないとね〜」
口座に一億円入っていたとはいえ、すぐ無くなるんじゃないかね。
えー、ちょっとは遊びつつダラダラしようと思ってたのに。
「いや、家賃収入でなんとかなるのか? 他に入居者がいるか確かめないと」
結果、いませんでした。
書類を読み込んでいくと、わざわざ俺の為だけに都内に建てられたものらしい。
神様パワーすげー。
でも来年から税金を払わないといけないらしい。
お金を稼げと言われてるよね。
間接的に次元の狭間に行かせようとするとは。
中々の策士じゃないか。
「入居者を探そうにも直ぐには無理なのかな。やり方が分からんし。募集とかするのか?」
「でもでも〜他に入居者が居ないならやりたい放題出来るよね〜。フロア丸々改装して一部屋にするとか〜」
「いや、出来るだろうけど、結局お金稼がないといけないじゃん」
「眷属ガチャで一年に一人は人が増えるんだしさ〜広くしても良いと思うんだよね〜。ギルドも作る予定なんでしょ〜? 下の階層はギルド事務所にして〜上は居住区とかにする事も出来るよね〜」
ふむん。中々そそられる提案だな。
男たるもの、BIGでなければな。
かなりの金を使う事になりそうだが。
因みにギルドとは、探索者の集まりみたいなもんだ。
ギルド単位で次元の狭間を攻略する感じだな。
次元の狭間は、発見されるとまず等級を検査する。
そしてそれを、探索者組合がオークションに出す訳だ。
ギルド単位でそれを落札して、狭間から得た素材で利益を得る感じだな。
もし、オークションで落札して攻略できなかった場合、とんでもない罰金をかけられて、ギルドの名声も地に落ちる。
分相応な攻略をしろって事だな。
狭間崩壊して魔物が溢れてきたら迷惑になる訳だし。
勿論、ギルドに入ってない探索者同士で金を出し合って攻略する事も可能だ。
ギルドに入るとやれノルマだのが嫌だって人も居るし。
ギルドは会社。
野良はフリーランスって感じ?
ギルドから助っ人でお願いされる人もいるみたいだし。
働いた事ないから知らんけど。
「しゃーない。誘導された感はあるけど、わくわくする提案だしな。とりあえず金稼ぐか」
「わ〜い! やった〜!」
探索者組合に行ってとりあえず登録するか。
組合に行って能力を見せるだけでとりあえずOKらしいし。
「そういえば桜の能力ってなに?」
「んふふ〜。行ってからのお楽しみ〜」
左様ですか。
なら楽しみにさせて貰いますね。
ほほー。思ったより東京って変わってないんだな。
「スカイタワーがまだご存命とは。東京タワーもあるな。なんか懐かしいや」
「ね〜小腹空いた〜。牛丼食べた〜い」
「ふむ。俺も久々に食べたいな。ちょっと寄っていくか」
朝ご飯はパンしか食べてないしな。
それに、こっちに帰ってきてまだ文明の味を堪能していない。
いや、ビールは飲んだか。
向こうはエールだったし。
「ここが探索者組合か」
吉野さんで牛丼を食らい、タクシーを使ってやってきました。
車も買うべきだな。電車はややこしくて分からんし。
建物はなんか役所みたい。
そりゃそうか。異世界の冒険者ギルドみたいなのを想像してたけど、ここは現代でした。
「こういう所来ると難癖つけてくるのがお約束だよね〜」
「そういう場合ってどう対処すれば良いんだろうな。殺していいのか?」
「流石にだめでしょ〜。無視で良いんじゃな〜い?」
ふむ。ここは異世界じゃないし、簡単に殺しはダメなのか。
探索者の犯罪は普通よりかなり重罪だし、狭間崩壊以外での地上での能力行使も制限があるとか。
「息苦しそうだな」
「それが普通だと思うけど〜」
そんな事を喋りながら、話をしていたが特に何もなく受け付けに来れた。
普通はそこまで民度低くないよね。
「ようこそ、いらっしゃいませ」
「探索者の登録をしたいんですけど。二人分」
「かしこまりました。探索者アプリはお持ちでしょうか?」
アプリとな? えらいハイテクでんな。
スマホを取り出して見てみると、しっかりインストールされていた。
「これでいいですか?」
俺と桜は受付のおばちゃまにアプリを見せる。
「はい。ありがとうございます。では、アプリの指示に従って進めて下さい」
名前、生年月日、住所。
探索者学校を卒業したかしてないか。
などなど色々とぽちぽちしていく。
「では、あちらの別室で能力を見せて頂きます。能力の確認が取れましたら、こちらの方で本登録となります」
ふむふむ。
登録が終わると、このアプリで大抵の事は出来るらしい。
ギルドを作るのもアプリで出来るし、オークションもアプリから。
その他探索者のニュースや、狭間崩壊した時の招集など。
アプリ一つに詰め込みすぎだろ。
暇な時にニュースを見たら面白いかもだが。
「では、あちらのお部屋へ。別々にする事も可能ですがどうなさいますか?」
「んふふ〜。一緒で大丈夫だよ〜」
「じゃあ一緒でお願いします」
さてさて、桜の能力とはどんな感じなんだろうな。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます