永遠の秘密1:とくべつなふたり

ぐまひつ

【はじめに】

私は沢木キョウ(さわぎ・きょう)と呼ばれている。しかし、この名前は私の本当の名前ではない。本当の名前は・・・。今はまだ言わない方がいいだろう。


***


この物語ものがたりは、私『沢木キョウ』の身に起きた不思議ふしぎ出来事できごとをまとめたものである。


なぜ私がその出来事に遭遇そうぐうしたのか。それは、私の持つ特別とくべつ能力のうりょく関係かんけいしている。信じる信じないは読者どくしゃの皆さんの自由だが、私の目は他人のウソを見破みやぶることができるのだ。


右目だけを使った場合、ウソを言っている人の周りに赤黒いモヤがかかっているように見える。その姿すがたはまるで悪魔あくまのようだ。だから私は、この能力のことを『悪魔の右目』と名付けた。


この能力は生まれついて私の右目に宿やどっていたものではない。二十年ほど前、私が小学六年生のときに『ある人』と出会ったことがきっかけで、『悪魔の右目』が私の目にやってきたのだ。そして、その出会いが私のその後の人生を大きく変えることになるとは、そのときの私には全く想像そうぞうできていなかった。


その『ある人』はもうこの世にはいない。そして、あのときに何が起きたのか、をおぼえている人も今はもうほとんどいないだろう。だから私は、私の恩人おんじんとも言える『ある人』がみんなの記憶きおくから消え去る前に、『沢木キョウ』の右目が『悪魔の右目』になったときの様子ようす一冊いっさつの本にまとめるべく今この文章ぶんしょうを書いている。


***


読者どくしゃの皆さんには、私の身に何が起きたかを出来るだけ客観的きゃっかんてきに伝えたいと考えている。だから、私自身のことも、この物語の中では単なる登場人物とうじょうじんぶつの一人として記述きじゅつさせていただいた。


もちろん、私以外の登場人物とうじょうじんぶつ心境しんきょうや私がいなかった場所で起こった出来事は、本来ほんらいであれば私には知るよしもない。しかし、それは彼ら彼女らの当時の言動げんどうや、その出来事が起きたあとに彼ら彼女らと話をしたことから類推るいすいした。そのため、各々の登場人物の心境などに関しては、ある程度ていどは私個人の解釈かいしゃくが含まれていることをご理解りかいいただければと思う。

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