60 魔法の勉強会
図書館に行ったは良いものの、部屋がもうすでに埋まっており図書館の資料も永華達が欲しているものはのそこまで残ってなかった。
永華達はザベルに頼み教室を使って勉強会をすることに決め、まだ空いているだろう教室に戻るとザベルが作業していた。
勉強会をすることを伝えれば六時近くまで教室で作業をする予定だから、それまでは空けているつもりだと言われた。
それまで勉強会をすることにした永華達なのだが__
「さっき教えたことなのに、なんでできないんだ?」
「はぁい、しゅみましぇん」
「ふざけてるんだったら僕は帰るが?」
「そ、それは嫌ですう」
「じゃあ真面目にやれ」
「ふぁい」
冷めた目でレーピオを見るカルタと、恍惚とした表情でペンを動かすレーピオ。
教室内はカオスな空気に包まれていた。
勉強会を始めた頃はお互いに苦手なところを得意なものが教えていき、順調に進んでいた。
だが、いくらかたった頃レーピオの間違いをカルタが指摘した。
永華は前から薄々思っていたことだがカルタは勉強のことになると、いつもより少しキツくなる。それがレーピオの性癖に刺さってしまった。
「……真面目にやらないんだったら本当に僕、帰るけど?」
「あ、ごめんなさい。ちょっとはしゃいじゃいましたあ。真面目にやりますう」
「まったく……」
篠野部の圧に本気であることを察したレーピオは恍惚とした表情を慌てたものに変え、姿勢をただした。
その様子に頭が痛いとでも言いたげな雰囲気のカルタは大きなため息を吐く。
ちょっとはしゃいでたどころじゃないと思うんだけど……。
「……ビックリした」
「初対面の時からあんな感じでしたよ」
「……ふ、不健全では?」
あぁ、ザベル先生が困惑している……。
「……ホビットと人のハーフであるからか、見た目が幼いのが余計に不健全に見える。いや、そうじゃなくても不健全?」
「先生それはもう良いから作業の続きしようぜ?」
「……そう、ですね」
ベイノットが混乱している先生の気をそらす。
納得のいっていない様子だったが、先生は作業に戻った。
「ローレス、マンドラゴラが魔法生物なのか魔法植物なのかわかりません」
ローレスが静かに手を上げて、胸を張っていった。
「胸を張って言えることじゃないわよ……。いい?魔法生物と魔法植物の見分け方は大本の存在よ」
「じゃあ、マンドラゴラは植物なのか。ちなみに両方混ざってるやつは?バロメットとか」
「バロメットは植物よ、羊は木になる実だから本体は植物の方。動物と植物が混ざっている場合は本体がどっちかに注目するの」
バロメットは簡単にいってしまえば木に羊の腹が刺さっているような見た目をした魔法植物のことである。
実が熟して割れると羊が出てくる。そして木の周囲にある草を食べ、木だから移動できないので食べ尽くしてしまうと植えて木ごと死ぬ。
未成熟の実を収穫して実を割ると子羊が収穫できるが、この状態だと羊は生きていない。
羊部分から毛や肉が取れるがバロメットの羊は蹄まで羊毛で無駄なところがなく、金色の羊毛なので重宝される。
実の羊肉は蟹の味がするらしい。
いろんな場所にいるにはいるが東側の荒野にてよく発見される。
「……これ、暗記するしかないやつ?」
ローレスが暗い表情でミューに問う。
「紛らわしいものが多いからそうした方が楽かもしれないわ……」
ミューは渋い顔で肯定した。
「俺、暗記苦手……」
「まぁ、頑張りなさい」
ミューがローレスの肩に頑張れの意を込めて手を置くと途端にローレスの暗い表情はどこかに吹き飛び、いつもの明るい軽薄なものにかわる。
「ありがとう、ミューちゃん。手、握ってもいい?」
「私の手じゃなくてペンを握りなさい」
「はい」
またローレスがフラれて撃沈した。
正直この光景も毎日のものだ。
「メメ、これがわかりませんの」
そういってメメが差し出したノートには白魔法について書かれていた。
「白魔法なら僕ができますよう」
「さっき怒られてましたけど大丈夫です?」
「あれは魔法史だったのでえ……」
篠野部からわからない箇所を一通り教えられたレーピオはメメに白魔法もとい治癒魔法などの医療系の魔法について教えようとして軽く心配されていた。
「それで、どこがわからないんですかあ?」
「これです。上級の魔法は手術じみたことをするので難しいのも魔力を消費するのもわかるのですが……止血する場合はなぜ普通の治癒魔法で十分なのですか?」
「それは専門的な技術が必要ないからですねえ」
「専門性のあるなしですか」
「えぇ、その考えであっていますよう」
白魔法は、というか、どの魔法だって専門性の有無で難易度がかわってくる。
「私、召喚魔法を複数人で行ったときの魔力の減り方……ってところ、誰かわかるかしら?」
「基本均等だ。ただし、決めていたルールを破ったものは他のものよりも多くの魔力を取られる。そう覚えておけばいい」
「ルールを破ったとき、ね」
召喚魔法の無機物から生物、異世界の人間と対象は多岐にわたる。
召喚するものによっては一人で賄いきれない魔力を要求されたりもするので足り内分を補うために複数人で行うこともあるのだ。
「なあ、誰か魔方陣……永華、得意か?」
「よっしゃ任せろ」
「これわかるか?」
「ん~?あぁ、これ風と火が隣同士にあってぶつかってるから失敗するんだよ。隣がダメだから離したらいい」
「なるほど、サンキュー」
「いいえ」
「……試験の時も思ったけどよ。永華はなんで魔方陣の組み合わせ方がわかるんだ?」
「ん?」
「いや、試験の時に使ってたろ?複合魔方陣」
魔方陣は属性魔法単体で使うことが常だ。ごく稀に複数の属性の魔方陣を会わせて使うものもあるのだが、確立している一部を除いて複合魔方陣を使うものはほとんどいない。
「あぁ、使ったね。転移と速度操作、威力上昇……後なんだっけ?」
「試験受けた六人が箒から落ちたときも使ってただろ」
「あれは……自分でもよくわかってないんだけどね。多分生存本能でしょ」
「いや……それも納得できねえが、なんでぶっつけ本番で反発させないんだ?」
「……う~ん、想像と勘」
永華の回答にベイノットは頭を抱えた。
二人の会話に試験組はあんなことあったなあと遠い目をしており、同室となった二人は目を見開いていた。
「複合魔方陣……。ねえ、その想像と勘ってもっとわかりやすくしてくれませんかあ?」
「んっと……火と水が一緒だと水が勝っちゃうでしょ?火を強くすると水が蒸発する。って感じで効果がぶつかり合うとどうなるか想像して、頭の中に入れておくの。さっきみたいにぶつかってほしくないなら離すか間に何かを置く。細かいやつ、こっちの方がいいかな~?ってのは勘」
「なるほど?わかるようなわからないような……」
レーピオが首をかしげる。つられて永華も首をかしげた。
「つまり、複合効果の把握が重要ということです。ぶつかり合えばどうなるか、それを理解していれば間にどんな緩和材をいれればいいかの判断もつくし、出力の調節も聞きますから」
最初のレーピオとカルタのやり取りからの後から今まで干渉せず自分の作業に集中していたザベル先生が口を開いた。
「先生」
「そう、そんな感じ!」
「なるほどな」
なんというか、私は感覚でやっているからか言語化が難しいが、それを先生が変わりに言葉にしてくれた。
流石は教師。
とまぁ、こんな感じで時おりザベル先生からの助言もありながら、時間になるまで皆で互いの苦手な教科を教えあっていた。
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