断罪の探偵 1 蜘蛛屋敷殺人事件
柊 睡蓮
第1話
【登場人物】
日野 響 (ひの ひびき) ♂
主人公
月影 一織 (つきかげ いおり) ♀
月影探偵事務所の一人娘。高校一年生
鞍馬 凪(くらま なぎ) ♀
響の友人
鬼沢 礼司(おにさわ れいじ) ♂
凪の仲間
一玉 花菜 (ひとたま かな) ♀
凪の仲間
付喪 洋平 (つくも ようへい) ♂
出版社社員
河童 作 (かわらべ さく) ♂
出版社社員
玉藻 舞 (たまも まい) ♀
京都で食堂を営んでいる
火車 椿 (ひぐるま つばき) ♀
網縫館の主人
火車 菊 (ひぐるま きく) ♂
椿の夫
【本編】
響「…どうもこんにちは。日野 響です」
一織「あーもうダメダメ!そんなんじゃウチの宣伝にはなりませんよ!」
…………え?なんで私がこんなことを?私、間違いじゃなければ居候のはずなんだけど。
一織「響さんはこの探偵事務所の看板娘なんですから!」
どうやら分かっててやってるらしい。しかし実の娘が看板娘として機能してないってどうなってんだこの事務所は。
ところでこれを読んでるあなたには私たちがなんなのか分かりませんよね。
私は日野 響子(ひの ひびき)と言います。ここの居候兼探偵として生活しています。
そしてさっきうるさそうな態度を取っていたのが月影 一織(つきかげ いおり)ちゃんです。私の居候先である月影探偵事務所の一人娘で、彼女自身も学生でありながら探偵としても仕事しています。
響「でも私がやるより一織ちゃんがやったほうが…」
一織「だって学校にバレたら生徒指導間違いなしですもん」
どうしようか。完全に逃げれない理由が出来上がってしまった。
そのまま彼女に振り回され、一時間ほどが経過した。
一織「………よし!いい感じです!」
あぁ、ようやく終わった。ただの宣伝用の動画を撮るだけだったのにこんなに疲れるとは。何はともあれ上手くいったなら一安心だ。
一織「じゃあもうひとパターンいきますね〜」
まじかよ。
ちょうどそのときだった。私のスマホに突然電話がかかってきた。
わざわざ電話をかけるとは一体どんな用事なのか、意味もなく警戒しつつ応答すると…
響「はい、もしもし…」
凪「もしもしひびきーー!ひっさしぶりー!」
このやかましさ。この会話の勢い。間違いない。あの人だ。
凪「ウチ凪やけど。覚えとるか?」
忘れられるわけがない。私の数少ない友人だからな。
この電話をかけてきた人は鞍馬 凪(くらま なぎ)。変わった人物だが、決して悪い人ではない。
彼女は私の小学生のころからの友人、長い付き合いらしい。
響「ハイハイ凪ね。どうしたの急に」
凪「ずいぶん適当やなぁ。まええわ。あのな、網縫館(あみぬいかん)ってしっとるか?」
響「網縫館?」
凪「ほう、知らんのか。じゃあ行くぞ!ウチの仲間にも伝えたるわ」
…ん?仲間?
凪「じゃ色々決まったら教えるわ。そんじゃ!」
響「え!?ちょっ待っ」
そうして強制的に電話を切られた。どうやら私の参加は確定したらしい。仕方がない。そう覚悟を決めたのだった。
____この時は考えてもいなかった。あの事件の始まりを。
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