思惑と陰謀のセーフハウス

【い-14】文学フリマ京都_筑紫榛名

(一)

 きっかけは、些細なことだった。

 ラーメン屋でラーメンを食い終わり、席を立った時に、左隣の男の右手に北郷の体が少し触れたのだ。北郷自身はそれに気づかなかった。

 男が箸でつまんでいた薄いチャーシューが、北郷の体に触れた衝撃で箸からはずれて飛んでいった。チャーシューは勢いよく丼の上空を通過してラーメン屋のカウンターに着地するかに見えたが、左隣の男が左側に置いてあったお冷のグラスに当たり、跳ね返った。


(続く)

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