140字のいとおしさ

三つ葉るる

悲しい手

悲しみに包まれたわたしに触れる手を、わたしは払い除けたかった。けれどもそのぬくもりに焦がれる自分を否定できず、涙も出ない乾いた目を開く。後ろから、悲しみを霧散させんとする手が伸びて、冷たいわたしの身体をあたためる。悲しみはその手の主から生まれているのに。

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