第13話 こだわりの肘掛け


 私は小さい。成長期がなかったのだ。対して君は大きい。常に成長期みたいな奴だから。

 私は常に君を見上げていた。君は常に私を見下ろしていた。

 必然的に、君は私を肘置きにした。

 ……いや、おかしい。普通、人を肘置きにはしない。私の肩だの頭だのに唐突に腕を置く君は、ちょっとどうかと思う。君は高さがちょうどいいとか言うけれど、歩いている最中は逆に歩きづらいだろ。ただ置きたいだけか?

 傍から見れば、私たちは王様と召使いみたいだったろう。横柄な王様と従順な召使いだ。

 そう、私は従順だった。君に文句は言わなかったし、思いもしなかった。

 むしろ逆だった。君が私を、私だけを肘掛けにすること。君が私だけに体重をかけること。その全てが尊かった。

 だから、もし私みたいに小さくて、君の肘を置くのにちょうど良い人物が現れたとして、そいつの肩にもたれかかったりしないで欲しい。

 寄りかかったとして、なんか違うなって、なんか微妙だなって、私を思い出して欲しい。

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