第7話 X


 君のSNSを監視していたことがある。ざっと一年くらい。

 監視と言っても、別に悪い意味じゃない。君に内緒で、君の日常の呟きとか写真を見ていたというだけだ。わざわざSNSにあげるものなら、その前に私に話していることも多かったから、正直見る必要があるのか私自身懐疑的だったのだけれど。

 私がその悪癖をやめたのは、君がそのアカウントを更新しなくなったからだった。君は、そのきまぐれさからアカウントを変えたらしく、黙って見ているだけの私は移行先を知るすべがない。

 君の呟きを見られなくなったのは残念だが、一方で安堵もした。やっぱり、こっそり見ているのって悪いじゃない?

 それから私は見る専をやめて、なんとなしに呟き始める。ツイッターがXという謎の記号に変わったのと比べれば普通のことだ。

 君のことを思い出して呟くとき、もし君がこれを見ていたら、なんて妄想が頭を過らなくもない。

 そして、君がこれを見てニヤニヤしていたら、なんて思わなくもない。

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