シュレディンガーの君
ささまる
第1話 シュレディンガーの君
我ながら依存心が強い人間だと思う。だから君を捨てた。だって依存は良くないって言うじゃない。
けれどそれが良くなかった。自分勝手に連絡を断ち、一年音信不通になっても、私は君のことを考え続けている。私の中にあるのは、場所を取りすぎた君の不在だ。
一年だぞ? と我ながら怖くなる。一年もの間一欠片だって君のことを知らないままなのに、私は毎日ふとした拍子に君のことを思い出しては考えている。
だからようやくわかった。私は君に依存したくなかったんじゃない。君に依存して欲しくて、君に世界の果てまでだって追いかけてきて欲しかったのだ。
そして今、私は一人だ。
スマホが通知で震える度に、私はそれが君であることを願う。インターホンが鳴る度に、それが宅配であることに密かに落胆する。いつか飽きるだろうとタカをくくっていた過去を恐ろしく思うほどに、私は君を見たままだ。
私が君を想うのは確かだ。君はいないまま、不確かなままなのに。
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