戦い方を知る
1.シルバーキャット
【リンフィア】を出てしばらく――着いた場所は大きな岩場に構えられた町、シルバーキャット。
石造りの町の最上段には一際大きな道場のような施設があり、そこには顔に大きな傷を負った大男が居た。
彼に話し掛けると戦士になるかを問われる。迷わず頷いた。
「戦士は一撃に重きを置き、仲間を守る職業だ。精進しろよ」
そう言われた途端、身体に力が湧き上がる。
【スキル取得:ヘヴィストライク】
【スキル取得:スイング】
【スキル取得:シールドバッシュ】
【シークレット解放:ラッキーファイター】
【スキル取得:ビギナーズラック(戦)】
私は新たな力を手に入れたようだ。
大男曰くこれらはいわゆる基礎スキルで、このゲームでは特定のスキルを使い込んだり、様々な条件を達成する事で新たなスキルを手に入れることが出来るらしい。
しかし、他はなんとなく分かるとして……また【ビギナーズラック】か。
【ビギナーズラック(戦):戦士職でクリティカル攻撃が可能になる】
どうやら、本来戦士は一撃の威力は高いもののクリティカル攻撃がほとんど出せないらしかった。
それを可能にしてくれるならば実用的な物だろう。あの招き猫と、桃色の魔女さんに感謝する。
とにかくこれで、いっぱしの冒険者といったところか。
私の旅はここから始まるのだ。
2.シルバー荒野
せっかく戦士になったので、店で装備を整えた。
とても世話になった果物ナイフをカバンに仕舞い、【ブロンズソード】と【木の盾】【メイル】を購入。
高い買い物だったが、モンスターからやけにアイテムがドロップしていたので資金は何とかなった。
早速ヘヴィストライクで手頃なモンスターを攻撃。すると、強烈な一撃が敵を粉砕した。
これが戦士の力なのか……。自分の力に驚く。
一つ気になるとすれば、ずっとナイフで戦っていたためか剣……それも盾を持っての戦いに慣れないことか。
無我夢中になってシルバー荒野に生息するモンスター【土猿】たちを斬りつけていたら、いつの間にかレベルが14に達していた。
多用していたヘヴィストライクとスイングは熟練度というものが上昇。シールドバッシュはまだ盾の扱いに慣れず難しい。
攻撃力も初心者時代とは比べ物にならないほどぐんぐん上昇し、もはや敵無し。
もっと強いモンスターと戦いたい……。
そうやって欲を出した私はぐんぐん奥へ進んで行き、ついに出会ってしまう。
【エリアボスが出現しました】
現れたのは頭は猿・身体はスライムで出来ている「スライムモンキー」。
エリアボスか、面白い! 剣を握る手に力が入る。
思い切り跳躍し、ヘヴィストライクをお見舞い……したつもりが簡単に避けられる。さらに2・3発。しかし攻撃が届く事は無い。奴はとてもすばしっこく、鎧を着ている私では簡単に追いつけないのだ。
ヘヴィストライクの弱点は後隙が大きいことだ。手痛い反撃を貰い続け、気が付けばシルバーキャットで目覚めていた。
エリアボス……中々強敵じゃないか。一つの目標が出来た。
3.シルバー荒野奥地
私はあれから何度もスライムモンキーに戦いを挑み、大した成果も得られず敗北を繰り返した。力は充分あるはずだが、何が足りないのだろう?
「そなたはもっとスキルを活用すべきでござるよ」
不意に、まるで心を読まれたかのように声がする。
振り向けばそこには海パン一丁で仁王立ちした半裸の忍者が居た。
あまりの衝撃に声を出せずにいると、「とうっ!」忍者は果敢にもボスへ立ち向かう。
彼は海パンから二丁のクナイを取り出し、敵の動きを止める【影縫い】を使う。
それから目にもとまらぬ速さでボスを斬り付けた。みるみる体力を削り、ついに討伐に成功する。
「凄い……あなたは一体……」
彼は言った。
「拙者は海パン侍! 最強の短刀使いでござるよ!
そなたの攻撃はキレも良く目を見張るものがありますが、複数のスキルを組み合わせる事も覚えておくといいでござるな」
侍……かどうかは置いといて、ここで初めて命中率にステータスを振れる事を知る。
「助言ありがとう。これでまともに戦えそうだ」
海パン侍。彼の助言でスキル効果を再確認した私は、作戦を決める。
しばらくしてもう一度現れた「スライムモンキー」にリベンジ。
まずは攻撃を当てやすい範囲スキルのスイングで軽く怯ませる。その隙にスタン付与のシールドバッシュを叩き込むと、スライムモンキーは目を回して動きが鈍くなった。
すかさずヘヴィストライク……しかし一撃で倒せる相手ではない。何度も続けて一連の流れを繰り返し、苦戦の末スライムモンキーは地に伏した。
やった! 今までで一番の達成感を感じる……。
激しい戦闘の跡にはドロップアイテムが残されていた。
【カード:スライムモンキー】
【強化珠:攻撃10%】
【角砂糖×10】
【妖精の手袋】
【猿の手】
一気に色々手に入った為細かな事は分からないが、【妖精の手袋】と【猿の手】は装備できるようだ。猿の手はどうやら片手剣扱いになるらしい……。
試しに振ってみるとブロンズソードと比べて倍以上のダメージが出た。何がどういう原理なのか考えるのは辞めよう。
エリアボスとの戦闘を経て一回り成長した私はそのまま狩りをしながら進み、気が付くと大きな洞窟の前に到着していた。
何やら人混みが出来ている。何かあるのだろうか?
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