借金。

@AAxxxy

借金① 会社の飲み会


 口座残高、6324円。今月も金欠だ。岡野拓実はコンビニのATMで自分の預金通帳を見ながら深くため息をつく。

 給料日は毎月25日。まだあと20日以上もある。『さあ、どうするか。』

 今年で歳は25歳になった。20歳の時に結婚し、子供も2歳になる。実に情けない父親だと心の底から思う。

『岡野ー!』コンビニから出ると、会社の先輩である福島がこちらに駆けてきた。

『お前、今度新人の歓迎会あるんだけど来るよな?』行けるわけがない。金がないのだ。返答に困っていると、『もう出欠は参加にしといたから』『えっ』『場所と時間はまた連絡するから。よろしくー』そう告げると福島は最新型のスマートフォンを片手に、誰かに電話をかけながらスタスタと歩いていってしまった。

 非常にまずい。こんな金欠な状態で会社の飲み会など行けるはずがない。『またあの手を使うか。』

 キャッシングだ。現代では、お金を借りるのにスマホ1つで借りられる。本当に便利だ。慣れた手つきで、3万円を借りる手続きをする。手続き完了。ここまでで1分とかかっていない。こんなことをしているから、毎月の給料が借金の返済に消えていき、金欠となるのだ。だが、そんなことは頭で分かっていても金銭感覚が麻痺しており、もはや自分ではやめることができない。

 ひとまずこれで会社の飲み会には行けそうだ。そうこうしているうちに、昼休みが終わる時間となった。岡野はそれなりの待遇の良い会社に勤め、それなりの良い給料を貰っている。それにもかかわらず、借金をしているのだ。借金をする理由としては、岡野がとても見栄っ張りであることがとても大きな理由である。自分を良く見せたいが為に身なりに気を遣い、その結果散財し、金が足りなくなるということである。良い会社に勤めていても関係ないのだ。

 カンパーイ!!グラスとグラスが当たる音が気持ちよく店内に響き渡り、会社の新人歓迎会がスタートした。

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