さようならの約束
雨世界
1 あなたは今も、笑っていますか?
さようならの約束
あなたは今も、笑っていますか?
白瀬薺は小学生時代に、……少しだけいじめられていた時期があった。
きっかけは、たぶん、薺が自分に告白をしてきたクラスの男子のリーダー的な存在だった一人の男子生徒のことをごめんなさいと言って、振ったからだと思う。
そのいじめは、同じクラスだった薺の友達がいじめに気がついて「やめなよ!」と言って、止めてくれたのだけど、その間、薺のことを助けてくれた友達は、その友達以外誰もいなかった。
薺がいじめられていたのは、だいたい一ヶ月くらいの間だったと思う。
小学五年生の五月から六月の間の時期。
その日、強い雨が振っていた午後の学校帰りの道の上で、小学五年生の……白瀬薺は雨の中で一人で泣いていた。
ノートにいたずら書きをされて、影で意地悪を言われて、……お気に入りの傘を隠されて、……ずっと気を張っていたのだけど、そんな雨の日の帰り道で、ついに薺は我慢しきれなくなって一人で、たくさん、本当にたくさん(それは今まで我慢してきたぶんの涙だったのだと思う)の涙を流した。
一度泣き出すと、涙は全然止まらなくなった。
薺は、田んぼの横にあるあぜ道の途中で、立ち止まって泣いていた。(そこなら、誰にも見つからないと思ったのだ)
……ずっと、ずっと、雨の中で泣いていた。
でも、ふと気がつくと、目の前に一人の男の子が立っていた。
その男の子に気がついて、薺は、すごく驚いた。
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