第49話 息子たちの成長

 しばらく溶岩の近くを歩き続けた一行は、暑さに喉が渇き、歩くことさえもつらくなってきました。

 耐えかねた彼らは、暑さの中で休憩を取ることにしました。

 竹筒に入れていた水を飲み干し、喉を潤します。

 少し休むと、再び歩き出そうとしましたが、暑さがさらに増していることに気がつきました。


 マガタマ姫は焦りました。

 このままでは、坊主山にたどり着く前に皆が倒れてしまう。

 何とかしなければならない!そう思った時です。

 ウミマルヒコがマガタマ姫に向かって言いました。


「この暑さを和らげさせてください」


 そう告げると、ウミマルヒコは竹筒の底に隠していた粉を取り出しました。

 その粉を手に取り、溶岩の中に投げ入れます。

 そして、両手を広げて大きく息を吐きました。

 しばらく念じていると、熱く流れていた溶岩がみるみるうちに水に変わっていったのです。


 驚いたマガタマ姫が尋ねました。

「どういうことなのですか?」


 ウミマルヒコは微笑んで答えました。

「父のツチマルヒコと母のサザナミから、多くのことを教わりました。その一つに、海のダグの歯を削った粉を熱いお湯に入れ、自分の気を念じると海水に変わるというものがあります。もしかしたら溶岩にも通用するのではないかと思ったのです。やはり思った通り、少し時間はかかりましたが、溶岩は海水に変わりました」


 ウミマルヒコの説明を聞いたマガタマ姫は、安堵の笑みを浮かべました。

 ウミマルヒコの力で何とか暑さを回避できたマガタマ姫一行は、再び先へと進んでいきました。

 マガタマ姫は、ウミマルヒコの使い人としての成長を喜びつつも、自分の子ヒカリヒコの成長も願わずにはいられませんでした。


 しばらく歩いていると、針のように尖った岩山が見えてきました。

 マガタマ姫は、

「こんな岩山を登るなんて無理だ」

 と思いました。

 それに気づいたフジマルヒコが、尖った岩山に手裏剣を投げつけ、尖った部分を壊そうとしました。

 しかし、岩は非常に固く、手裏剣ははじき返されました。

 これを見ていたマガタマ姫は困り果ててしまいました。


 その時です。

 ヒカリヒコが、

「私に試させてください!」

 と叫びました。

 彼は背中の荷物から、水晶で作られた美しい曲線の武器を取り出しました。

 今で言うブーメランです。

 そして、そのブーメランを力強く針の山に投げつけました。

 すると、水晶のブーメランは尖った鋭い岩を砕き、見事に戻ってきました。

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