Column7 「息巻く」の話

 今回は、「息巻く」という言葉について取り上げようと思います。


     ☆


 先日、ある小説で次のような一文を見ました。(ニュアンスだけ残して、それ以外は変えております。ちょっと変な文章になってしまったのはご愛敬あいきょうでご勘弁ください)


 ——このところ太郎は、花子が気に入る映画を見せようと、リストアップに息巻いていた。


 ここで注目したいのは「息巻く」という言葉です。

 例文の流れからすると、「意気込む」という意味で捉えられそうですが、「息巻く」の意味はそうではありません。


「息巻く」は、「①息を荒くして怒る。いきりたつ。②威勢よくまくしたてる」(『旺文社国語辞典 第十二版』より引用)という意味です。


 そのため、この意味として例文にはめ込んだら、「リストアップに息を荒くして怒る(いきりたつ)」ことになり、太郎が張り切っている様子を書いているはずが、怒っているような場景になってしまっています。


 これは、文章が表現したいものとは違いますよね。


 では、どのように直せばよいのかと言うと、「このところ太郎は、花子が気に入る映画を見せようと、リストアップに意気込んでいた」とするのが良いかなと思います。


 もしかすると「息巻く」と「意気込む」の音が似ていたから誤って使ってしまったのかもしれませんが、全然違う意味になってしまうので、混同は避けたいところですね。

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