界隈キッズ

八雲真中

第1話~眠らない街~

 『眠らない街』は今日も騒がしい。いつものように警察が見回り、いつものように未成年がフラフラしている。明らかな未成年から非常に大人びた容姿を持っている未成年もいる。老若男女問わず素晴らしく賑わっている。『眠らない街』とは東京都新宿区が誇る日本最大級の繫華街・歌舞伎町である。

 だがしかし、ただ賑わっているだけならまだいい。その中には「闇」を抱えている若者たちがいる。歌舞伎町にある旧新宿コマ劇場跡地に建設された新宿TOHOビルの前にあるシネシティ広場に位置する、正確な所在地は東京都新宿区歌舞伎町1丁目19ー1に位置する『トー横界隈』である。15歳の少年が60代男性のホームレスに暴行を加えるという事件やオーバードーズ(薬物の過剰摂取)、買売春(トー横のハウルが有名)といったことで有名になっている。さらには、トー横の派生もここ何年かで頭角を現した。

 大阪府大阪市中央区道頓堀のグリコサインの下『グリ下界隈』、愛知県名古屋市中区錦三丁目のドン・キホーテ栄本店の横『ドン横界隈』、福岡県福岡市中央区天神にある警固公園周辺の『警固界隈』などがある。分かる人には分かるだろうが、ここに所在する地域はすべて条件が揃っている。

 一つ目は、都会である。新宿・大阪・名古屋・福岡。大都市に集中して作られているのである。大都市に作れば人がたくさん来てくれるという思考からだろうか。

 二つ目は、繫華街・歓楽街である。歌舞伎町、道頓堀、錦、天神。これらはすべて繫華街・歓楽街である。

 つまるところ、大都市にある繫華街・歓楽街に作ると人を効率よく集中して集めることができるのだ。実際、そういう思考なのかは分からないが筆者はそう考えている。

 そして、なぜそこに集まるのか? 答えは居場所がないからだ。どういうこと? 家や学校にあるじゃん? 甘い考えだ。家や学校に居場所がないから年々『界隈キッズ』が増加傾向にある。なぜないのか。答えは純粋に、虐待を受けているケースがほとんどだ。精神的虐待、肉体的虐待、性的虐待……etc。それを必然的に逃れられるのは『界隈』に他ならない。

 虐待は、児童虐待の防止に関する法律(児童虐待防止法)では、「児童の親であることを理由として各犯罪の責めを免れることはできない」と規定されており、刑法208条の暴行罪、刑法204条の傷害罪などが成り立つ。

 次の話では、闇の実態に迫っていく……

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