“暴食”お嬢様の異世界迷宮なんでもグルメ紀行〜ゴブリンからドラゴンまでなんでも美味しくいただきますわー!〜

九龍クロン

1、異世界転生ですわ〜!



おだやかな風、ぽかぽかの日差し、柔らかな草原。

向こうには大きな山。青々と茂ったそれからは、ときどき大きな……竜のようなものが見え隠れする。

はるか上空、雲の上に、半透明の、視界を覆うほど大きなクジラが、泳いでいる。

生まれ育った世界では、絶対にない、そういうものに囲まれて、ここにいる。


「い……」


大きく息を吸って、思いを吐き出す。


「異世界転生ですわ〜〜〜!!」


薔薇小路 牡丹、17歳。

異世界に、転生しました。


転移ではないのか?とも思うが、明らかに違うものがひとつ。そう、肉体だ。

元の体は貧相オブ貧相、幼い頃に見たお嬢様に憧れるも、なにもかもがそれに届かなかった、名前以外普通のJKだった。

それが今はどうだ?

見える限りでは、スラッとした白い手足、サラサラかつ癖のない髪……いや、しっかりとした縦ロールなので癖はあるのか。そして、多分背は高いし、体型もとても良い。少なくとも、直立で真下を見た時に靴がみえないくらいには。

声も違う。高貴な感じがする、気がする。語尾は何故かこうなっているが、お嬢様感があっていいだろう。

つまり、元の肉体ではない。転移では、ないのだろう。

この肉体が用意されたものなのか、それともこの世界の誰かのものなのかはわからない。が、今はそれはおいておこう。


「先程お会いした女神様によれば、わたくしにはユニークスキルとやらが与えられたのでしたね。えっと……ステータス?」


パッと目の前に半透明のインターフェースが出てきた。



薔薇小路 牡丹(ボタン) 17歳

レベル 1

種族 人間 お嬢様

ユニークスキル 暴食

スキル 無し

加護 大罪管理女神の加護(小)

創造神の加護(極小)



「うーん、意味はわからないですけれど、とにかく『暴食』をいただけたのはわかりましたわ〜!……なにこれ?」


暴食

全てを食べる事ができる。食事として摂取した場合、状態異常など全て無効化し、全てを消化できる。


「つまり……」


つまり。


「空腹で亡くなることはないのですわね!ひとまずよかったですわ〜!」


その辺の草は、土と一緒に食べるとそこそこ美味しかった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る