15 years old
高校生になった私。実業高校だったため毎日が慌ただしく勉強勉強の毎日で、いつしか先生のことを考える時間もほとんど無くなっていった。年頃の女子たちの会話はほとんどが恋愛の話で、正直私はうんざりだった。自分の恋愛歴をオープンに話すのが嫌で、自分だけの思い出として大切にしまっておきたかった。3年間クラス替えもないし、孤立するよりマシかと話を合わせた。
「響先輩カッコイイよね!私、声かけてみようかな」
「えーそう??紗英はあんま思わないなぁ。ねね、それよりあの先輩のほうよくない??」
目の前で顔しか知らない先輩たちを格付けする歩実と紗英を見る私の目は、死んだ魚のようになっていたと思う。自分でも性格が悪いなと感じていた。授業をしている時間のほうが、私にはよっぽど楽だった。
粉雪が降り始めたある日のこと。その日は用があり、下校する時間が遅くなった。いつも一緒に帰る2人には先に帰ってもらっていた。ローファーを履き、音楽アプリの再生ボタンを押した。左のイヤホンを付け、もう片方を付けようとしたその時、
「あ、ねぇ、※△%□…」
誰かに呼び止められた。振り返るとそこには、顔だけ知っている先輩が立っていた。たしか野球部の3年の人だったと思う。曲の音が大きく声が聞き取れなかったため、わたしは左のイヤホンを外した。
「はい、なんですか。」
「いや、ごめん。」
それだけ言うとその先輩は、早足で、逃げるように去っていった。
気になった私はSNSでその先輩を探し、メッセージを送った。「何か私に用がありましたか?人違いだったでしょうか」の返信は、「いや、人違いではない!ごめんね」だった。よくわからない人だなと思ったが、なぜかその後も話が弾んだ。
向伊慧太。それが彼の名前だった。この出会いが、私たちを夫婦にさせた。
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