第8話 私と新しい生活(2)



入学式は出席簿順で体育館に並んで行った。

里奈と私は、佐伯さえき紗倉さくらで前後に並んでいる。


「ねえねえ、うちのクラス結構かっこいい人いるよね。」

「里奈またそういう事言って……」


里奈は後ろを向いてこっそり話しかけてきた

小学校の入学式の時も、中学校の入学式の時も全く同じやりとりをしている。


「だってモチベ違うじゃん!女の子も可愛い子多いし、早く仲良くなりたいなあ。」


里奈の言うことはちょっとわかる。

こっそり周りを見回してみると、中学の時とは違ってちょっと大人っぽい子も多い気がする。


私この中で浮いてないかな……?




長い入学式の話も要約すれば

しっかり勉学に励み、これからの学校生活を楽しみましょう。と言う内容

それだけに1時間近く体育館に詰められて話を聞かされ続ければ私達も飽きてしまう


最後の方なんて内容すら覚えてない



「以上、北山高校入学式を終わります。」





「やーっと終わった!」

「長かったねえ。」


ぞろぞろと体育館から出て、HRのために自分の教室へ向かう


「やばい、私教室の場所覚えられないかも!」

「私も、もうすでにどこ歩いてるか分からないかも……。」


どこの同じような教室ばかりで、間違えた上の学年の階に行っちゃったらどうしよう、とか考えちゃう。

しばらくは里奈と一緒に行動しよう。迷子になっちゃうかも。


「小春と里奈は部活入んのか?」


突然後ろから声をかけられてびっくりした。


「わあ!突然声かけないでよ!びっくりするじゃん!」

「俺バスケ部入るんだけど、マネージャー募集してるらしいぜ!」


颯太は高校でもバスケ部に入るらしい。

中学時代の颯太はバスケの関東大会でメンバーに選ばれるぐらいにはすごかったらしい。

実はあまりよくわからない。


「えー!マネージャーとか憧れるんだけど!ねえこはるん一緒にやろうよ!」

「うーん……私はいいかな。」


里奈は目をキラキラさせながら言ってきたけど

私は高校で部活とかはあまり考えていなかった。

それに運動部のマネージャーとかちょっと大変そうだし。


「こはるんがやらないから、私もいいかな……。」

「そんな、里奈がやりたい事やりなよ!私はあんまそう言うのは興味ないっていうか……。せっかくの高校生になったんだし、色々やってみるの面白いと思うよ!」

「えー、どうしようかなあ。」


私のせいで里奈がやりたい事できないなんて申し訳なさすぎる。


「まあ、里奈も小春も考えてみてよ!」

「うん!そうする!」


隣でどうしようかな、と迷う里奈を見て

里奈が部活入っちゃったらちょっと寂しくなっちゃうなって自分勝手な事考える私がいた


運動部のマネージャーは興味ないけど、私もなにか部活入ってみようかな。


その方がきっと家に帰ってレオがいない悲しみが少し紛れる気がした

いつまでも悲しんでるわけにはいかないから



「そういえば、入学式に参加してないクラスの奴が一人いたみたいだぜ!」

「不良じゃんそれ!」

「先生が慌てて電話してたってさ。」


そんな不良がクラスメイトにいるなんて……。

あまり関わらないようにしよ。


「でも悪い男ってちょっと憧れるよね!」

「え!だめだよ!」


里奈が変な事言うからちょっと声が大きくなってしまった


「大丈夫だって憧れるだけ!」

「颯太どうしよう、里奈が不良になっちゃう……。」

「お兄ちゃんは許しません!」

「もー!お兄ちゃんもお姉ちゃんも頭が硬いんだから!」


身長が低くて可愛い容姿の里奈は親友でもあって、ちょっと目の離せない妹みたいな所もある。


高校生になったし、里奈はすごく可愛いからいつか彼氏を作ってその人に夢中になったりするんだろうけど

変な人と付き合うのだけはやめてほしいな。

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