付録 御伽噺十二題
一.『ニンジンころりん』
お爺さんが畑でニンジンを抜いていると、抜いたニンジンの一本がウサギの穴に転がり込む。それを追いかけたお爺さんは穴の主のウサギに逢い、ニンジンのお礼にお守りを貰う。後日、お爺さんのニンジン畑に泥棒が入るが、お爺さんでは捕まえられない。そのときお守りから現れたウサギたちが泥棒を追いかけて捕まえ懲らしめる。お爺さんはその後もお守りとウサギたちを大事にし、お爺さんのニンジンは美味しく、また泥棒除けに良いと評判を集めたと言う。
二.『編み笠ウサギ』
大晦日、とある貧しいお爺さんは、お婆さんが叩いた藁で作った編み笠を売って正月の御馳走を買おうと町へ行く。しかし笠を買う人はおらず、売れなかった笠を抱えた帰り道、お爺さんは迷子の子ウサギを見つけ、寒さに震える子ウサギに笠を被せて家に帰る。その夜更け、家の外で物音がするので見ると、家の前に金銀財宝、年越しの御馳走まで置かれていた。傍にはウサギの親子が立っており、お爺さんに頭を下げて立ち去った。こうしてお爺さんとお婆さんは立派な正月を迎えることが出来た。
三.『ウサギとハリネズミ』
ある日、足の速さが自慢のウサギが、ハリネズミと競争することになった。足の速さを鼻にかけるウサギを懲らしめるため、ハリネズミはそっくりな影武者をゴール地点に立たせ、先にゴールした振りをする。意地を張ったウサギは、勝負は片道じゃなく往復だとスタート地点へ戻るものの、スタート地点にもハリネズミが待ち受けていた。何度往復してもハリネズミに勝てないウサギは、自分の傲慢さを反省し改心する。
四.『油断大敵』
ある日、足の速さが自慢のウサギが、カメと競争することになった。足の速さを鼻にかけるウサギは、途中で疲れ、余裕があるからと昼寝する。その間にもカメは地道に歩き続け、気付いて追いかけたウサギよりも早くゴールした。勝負に負けたウサギは、自分の傲慢さを反省し改心する。
五.『ウサギとキツネ』
ウサギがある日、キツネの頭の良さを褒めると、気を良くしたキツネはウサギに御馳走すると言う。ウサギはキツネの家に行くものの御馳走はなく、キツネに勧められて御馳走を準備する間に風呂に入ろうとしたウサギは、キツネが自分を煮殺そうとしていることに気付く。キツネの言う御馳走はウサギ自身のことで、つまりキツネはウサギを食べるつもりだった。ウサギは知恵を絞ってキツネを騙し返し、キツネの家から逃げ出す。
六.『ウサギの海渡り』
ある日、ウサギはサメを集めた。ウサギ族とサメ族のどちらが多いか、サメを数えて確かめようと言う。サメはウサギの言う通り対岸まで一直線に並び、ウサギはサメの背を飛びながらその数を数えた。しかしウサギは、最後のサメの背に乗ったとき、本当は海を渡りたかっただけだと、騙されたサメたちを馬鹿にする。サメは素直に頼めば対岸に渡したのにと怒り、ウサギを懲らしめる。そこに人間が通りかかり、反省したウサギの怪我を直して去っていった。
七.『聖兎の八十八難』
ウサギはある日、神様から遥か西の地にある宝物を取りに行くよう命じられる。ウサギは山を越え川を越え、時には他の獣に襲われ、多くの苦難を乗り越えた果てに遥か西の地で宝物を見つけ出す。その宝物とは、徳の高い人間であった。人間は東の地で王となり、王を見つけたウサギは聖なるウサギとして
八.『オグナの王子』
西の国の末王子は、ある日父王に命じられ、たった一人で東の国を征伐に行くことになる。しかし一人で敵の国へ行っても殺されるだけ。神様に祈った王子の前に、神様から使わされたと言うウサギが現れ、東の国まで道案内をしてくれることになる。
九.『ウサギとフクロウの知恵比べ』
ウサギは旅の途中、通り道を塞ぐフクロウと出会う。フクロウは見張り番で、謎を解かなければ道を通さないと言う。その謎とは、朝は足が四本、昼は二本、夜は三本になる動物とは何か。ウサギが人間と答えると、フクロウは観念して道を譲った。
十.『めらめらヶ原』
旅の若者が武術大会で優勝し、姫に見初められる。しかし父王は二人の結婚を認めず、
十一.『ウサギの献身』
ある日、三匹の獣が倒れた老人を見つけた。もう何日も食べていないと言う老人に、サルは森で木の実や野菜を、キツネは村で神様に供えられた穀物を取ってきて与えたが、ウサギは何も取ることが出来なかった。ウサギはサルとキツネに火を焚くよう頼み、二匹が薪を集め火を焚くと、ウサギは老人に自分を食べるよう言いおいて、その火に飛び込んだ。これを見た神様は、焼け死んだウサギを天に召したと言う。
十二.『ウサギのウェネト』
ウサギが旅をしていると途中、若い女性が苦しんでいるのに出会った。荷物の中にあったミカンを食べさせると女性は元気になり、医者を呼んで戻った従者から謝礼として反物を渡された。ウサギが旅を続けると、とある立派な屋敷の前で助けた女性と従者と再会する。女性はその屋敷の娘で、ウサギはその屋敷で働くことになり、やがて娘の婿に迎えられた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます