第51話 見えない視線1

 オオナマズを倒したグリムとフェスタ。

 如何やら主だったのは間違いなく、ポイントもたくさん入っていた。

 今回も中ボスだったのか、前回同様五十ポイントだ。


「やっぱりいいねー。中ボスは」

「そうだね。これだけポイントが稼げるなら、苦労した甲斐はあったよ」

「苦労って言うのかなー? 確かに普通のモンスターよりは強いけどね」

「どんな形であれ、倒した以上の功績は無いよ。それにバッチリポイントも確得で来ているから問題無いと思うけど?」


 今回はオオナマズの自滅だった。

 だけどそのために頑張ったのは、グリムとフェスタ。活躍のおかげでこうして倒せたんだから良しとしたい。

 グリムとフェスタは妥協まではいかないが、カッコいい勝ち方じゃないのは承知の上で何事もなく倒したことを受け入れた。


「おっと、そうだ! ボスばっかり倒しているんだからさー、新しいスキルとかGETできてるかなー? おっ!」

「フェスタ、その顔は新しいスキルを手に入れたんだね。おめでとう」

「ありがとう! ここまで頑張って一つかー。でもスキルの条件って人によって達成できるものとできないものがあるからなー。まあいいや。グリムの方はどんな感じ?」

「私も手に入っているよ」


 二人揃って新スキルを手に入れていた。

 ニコニコ笑顔で喜ぶフェスタ。お互いにどんなスキルを手に入れたのか見せ合う。


「それじゃあ見せ合いっこしようよー。私はね【潜水】だって。これがあれば楽に潜れるみたい」

「いつか使えそうないいスキルだね」


 フェスタは手に入れたばかりの【潜水】を見せてくれた。

 なかなか条件が素潜り素人には厳しそうだ。



スキル【潜水】

条件:息を止めた状態で水の中を10メートル以上潜る。

説明:潜水する際の疲れを軽減し、より安定して潜れるようになる。



「ねー。結構良いスキルでしょ」

「フェスタには合っているね。それじゃあ私が手に入れたスキルだけど、こんな感じかな」


 今度はグリムの番だった。

 手に入れたスキルを見せると、フェスタは目を見開いた。

 そんなに驚くのだろうか? そう思ったのも束の間。頬をプクッとさせていた。


「二つもGETしてるのズルいよー!」

「そうは言われても。どっちも大したことないスキルだよ?」


 グリムが手に入れたスキルは確かにパッとしていなかった。

 手に入れたスキルはこの二つだ。



スキル【眼光】

条件:目力の強い者が相手を睨み、委縮させる。

説明:鋭い眼光で相手を委縮させることができる。目力の強さによって硬直時間は異なる。



スキル【緊急回避】

条件:攻撃を受け身を取る暇もなく回避する。

説明:受け身を取れない緊急による回避。一度の戦闘で使用には回数があり、使用するとHPが少し減る。



「ねっ、あんまり面白くないでしょ?」

「いやいや、【緊急回避】は最悪保険になるよね。それに【眼光】はグリムが使ったらもうバグだよねー?」

「それって私の気にしていること言ってる?」

「もっちろん!」


 確かに合っていると言えば合っていた。けれど嬉しくなかった。

 グリムは昔から人よりも目力が強い。強すぎて時々睨むと相手を萎縮させることがある。

 だから気を遣ってあまり睨まないようにしていたが、フェスタの言い方が気に食わなくて少し睨む。するとスキルは使ってないはずなのに、ビビってたじろいだ。そんなに怖いのかなと落ち込んだ。


「私、そんなに目付き悪いのかな?」

「悪いって言うよりも、睨まれると怖いって感じかなー?」

「うーん。でも睨んじゃうことはあるよね」

「その時はドーンと構えていればいいんだよ! さっ、最終日まで頑張ろう頑張ろう。雑魚を狩りまくってランキング一位目指すぞぉー!」


 フェスタは張り切っていた。

 グリムもそれに合わせ、今日は雑魚モンスターを倒しまくることにした。

 じっくり丁寧にモンスターを倒していき、いつの間のかポイントも百を超えていた。




「なるほど、そう言う作戦もあるんですね」

「面白い。けど雑」


 アイとナミダはグリムとフェスタの戦う雄姿を見届けていた。

 他のプレイヤーがやらないような戦い方を目の当たりにし、今後の参考になった。

 オオナマズは確かに皮膚が硬い。けれど腹の部分は柔らかく設定していたが、まさかボディプレスを仕掛けるタイミングしか攻撃の余地が無いこと、そこから先はアイやナミダの想定外の倒し方をしたこと。読みも作戦も上手く決まっていて、観ていた楽しかった。


「確かに雑かもしれないけど、倒し方は他の人達には無いものだよね」

「それはそう。けど一歩間違えれば死んでいた」

「危ういってことだよね?」

「そう言うこと。これだと命がいくらあっても足りない。とは言え〈死神の外套〉があれば別」


 ナミダの言うことは間違っていなかった。

 〈アルカナシリーズ〉の強みがはっきり出ていた。実際、この間のカマキラーサイス戦も危うい所が多かったのをアイは覚えている。

 これだといつか死んでしまう。そう思われてもおかしくないが、ファイアやブリザード、シロガネのように、何か縛りがあることを一切ものともせず、それを活かした戦い方をするのは非常に熱かった。


「だけど改善点もある」

「そうだね。今あるスキルを弱体化させるのは大変だから、修正内容は……」

「今後追加予定のスキルとアイテム、およびモンスターの強化。これだけ色んな動きを見せるプレイヤーが居れば、もっと情報が手には入る」


 ナミダは上方修正下方修正を考慮していた。

 今できているプログラムを修正し直すのは大変だけど、アイも手伝えることは手伝う。

 もっと色んなものを見せて欲しい。推しのプレイヤーに激しい期待感を寄せるアイだった。






――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


■グリム

性別:女

LV:15

HP:150/150

MP:90/90


STR(筋力):55

INT(知力):62

VIT(生命力):57

MEN(精神力):150

AGI(敏捷性):57

DEX(器用さ):104

LUK(運):65


装備(武具)

メイン1:〈死神の大鎌〉ATK:-X

メイン2:


装備:(防具)

頭:

体:〈死神のシャツ〉〈死神の外套〉DEF:-X

腕:

足:〈死神のレギンス〉DEF:-X

靴:〈死神のブーツ〉DEF:-X

装飾品:〈死神のネックレス〉ステータス:-X


スキル(魔法を含む)

【精神相殺】【観察眼】【看破】【ジャストガード】【眼光】【緊急回避】


ユニークスキル

【マイナス固定】




■フェスタ

性別:女

LV:12

HP:120/120

MP:75/75


STR(筋力):135

INT(知力):42

VIT(生命力):41

MEN(精神力):40

AGI(敏捷性):90

DEX(器用さ):40

LUK(運):42


装備(武具)

メイン1:〈戦車の大剣槍〉 ATK:X

メイン2:


装備:(防具)

頭:

体:〈戦車の軽鎧〉 DEF:X

腕:

足:〈戦車の軽脚〉DEF:X

靴:〈戦車の軽靴〉DEF:X

装飾品:〈戦車のスカーフ〉敏捷性:X


スキル(魔法を含む)

【筋肉増強】【ジャスト回避】【馬術】【アニマルフレンドリー】【潜水】【納剣】【抜剣】


ユニークスキル

【万能騎乗】

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