結論:デバフ装備が最強です。〜呪いのアイテムしか装備できないせいで、《死神》と呼ばれるようになりました。

水定ゆう

一章 《死神》が呪いの装備でやって来た

第1話 《死神》と呼ばれる少し前

『と、言うわけで頼んだよー』


 プツ!

 耳元でスマホの着信が切られた。


「って、ちょっと待って!」


 童輪どうわは声を振り絞る。

 切られる前に届けば良いのにと思った。

 でもダメだったようで、顳顬こめかみを指で押さえた。


「あー、切れちゃった。はぁー、勝手だな。まあ良いけど」


 新条童輪しんじょうどうわは昔からの友人である上里祭理かみさとまつりに振り回されていた。

 苦言を呈し、溜息を吐く。

 とはいえ童輪もそこまで嫌ではなく、仕方ないと飲み込む。


「それにしても、何をしたら良いの?」


 ベッドに置かれた四角い箱。

 これだけで五万円はした。結構高額だ。


 その隣にはゲームのダウンロードコード。

 表面にはゲームのロゴと一緒に、プレシャスコード・オンラインとタイトルが刻印されていた。


 こっちも祭理に誘われるまま、ゲームショップで四角い箱と一緒に買って来た。

 大体八千円くらいだったけど、ダウンロード版しかないとは思わなかった。


 そんなこともあってようやく手に入れた。

 とりあえずコレを使えば良いらしいが、如何したら良いのかさっぱり。


 あまりこの手のことには慣れていないので、正直右往左往。

 そもそもこうなった張本人の祭理が、しばらくの間参加できないとなると、童輪一人でやる意味がないのではないか? と、まで思ってしまうレベルだ。


「それに、ほとんどゲームをしない私に押し付けて、自分は授業って……考えてもダメだ」


 これもそれも全部祭理の自業自得。

 大学生になって、まだ三ヶ月ちょっと。

 にもかかわらず、遊びまくっていたせいだと、今になって痛感しているはずだ。


 一方の童輪はかなり真面目。

 授業も出て、どれだけサボっても小テストは八〜九割正解、満足のいく大学生活を送っていた。

 なので時間はたっぷりある。こうしている間にも刻々と過ぎていくので、童輪は考えないことにする。


「まあ良いや。とりあえず、せっかく買ってんだから、このままにしても意味ないよね」


 せっかく買ったと言うことで、白い箱からハードを取り出す。

 中には箱のパッケージに描かれていたオシャレなロゴがプリントされた、ゴーグルが一つ入っている。


「あれ、コレだけなんだ」


 このゴーグル一つに五万円。

 どうせならとちょっと質の良いものを選んだけど、通常盤と遜色ない。

 比べて分かるのは、中に入っていたVRドライブと呼ばれるハードのラインが、通常の青から赤に変わり、やや色味も黒っぽい程度。


「それならせめてパッケージも黒の方が統一感があって良かったのでは?」


 文句ではなく、企業的に大変なんだろうと飲み込む。

 実際、白いパッケージは光沢感があって、表面もツルツルしていて素敵だった。


 とは言えそんなことは一旦置いておく。

 VRドライブを手にした童輪はここでちょっとした壁に躓く。


「設定、如何やるんだろ?」


 童輪は説明書を取り出そうとする。

 けれど箱の中は、保証書以外には他に入っていない。

 今時はスマホでQRコードを読み取らないと説明書が見られないので、童輪は面倒に思う。


「まあいっか。なんとかなるでしょ」


 とりあえずハードの電源を入れてみる。

 頭にVRゴーグルと呼ばれるゴーグルタイプのハードを装着すると、早速初期設定をすることにした。







ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 とりあえず一話目を読んでいただき、ありがとうございました。


 私自身が楽しくて、書きやすくて、できるだけ面白いものを書こうと思い執筆・投稿しました。


 タイトルにある「デバフ装備が最強ってなに?」「えっ、主人公強くない?」とか思ってもらえたら幸いです。


 これからも投稿を続けていきます。

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 レビューを頂けたら尚のこと嬉しいです。

 

 

 

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