第153話
「アルフレッド様のマントを作った布の切れ端です。穴が開いたときなどの補修用にとってるのですが、アルフレッド様はマントを着用することがほとんどないので」
「え?」
会ったときに全身を隠すようにマントを身に着けていたけどな?
あれは、私に会うために普段は身に着けないマントを特別に身に着けていた?……屋敷の中なのに?マントなんてコートみたいな位置づけだよね?
何のために?体形を隠すため?ぽっちゃり体形を見られたくなかった?
それってどうして?普通は、見られたくないのは見せたくない、見せたくないのは醜いと思われたくない、醜いと思われたくないのは好かれたい……?
「え?まさか、まさか……」
アルフレッド様は、少しは私に良く思われたいってこと?だから、私がドレスをマーサたちに着せられてオシャレさせられたように、マントでオシャレをしたってこと?
「いえ、あの、そうじゃないですっ!」
使用人が否定の言葉を口にした。
ひぃっ!まさか、私、無意識に口に出してた?
「穴が開いたときの補修というのは、その、マントを新調できないほど貧しいということではなくて……」
「そ、そうです、奥様のドレスも穴が開いても繕って着てくださいということでもなく……」
あ、なんだ。そうじゃないって、そういうこと?
私が声をあげたのが、繕ってまで使い続けるってところにびっくりしたと思われたのか。
穴ふさいだら使えるなら使えばいいし、共布で繕えるなんて贅沢だよ?
というか……。私、新しいドレスを欲しがるような感じに見えてるの?
「私、普段はドレスを着ないのよ。アルフレッド様がマントをつけないのと同じ」
今日はマーサたちにドレスを着せられ化粧をされ、髪を結われたけれど。
……まずいぞ。浪費妻だとか悪いうわさが経ったら困る。
「そ、それから、ほら、私、縫物得意だから、ドレスに穴が開いたら自分で直しちゃうのよ?」
まぁ侯爵家にいるときはドレスじゃなくてぼろ布のようなかろうじて服の形をしていたワンピースとかだったけども。
「え?あの……」
使用人が疑いの目を向けてきたけれど、私がすいすいと巾着を縫う手元を見て首をかしげながらも納得してくれたかな?
いや、もう話題を変えよう。
「マントと同じ布で巾着を作れば確かにいいかもしれませんね。アルフレッド様の温石入れって分かりやすいでしょうし。ああ、そうだ、少しだけ刺繍もしてみましょうか。では、必要な分の布をいただいていくわ」
ハンカチ1枚分ほどの布を切って、立ち上がる。
「刺繍は部屋でするわね。巾着づくり、根を詰めすぎないように休憩を取りながらね。無理は禁物よ?」
ふへへとごまかすように笑って部屋から逃げ出す。
はぁー。浪費妻だと思われる危険がある。ドレス脱いで着替えよう。化粧も落とそう。話はそれからだ!うん。
部屋に戻って、布を机の上に置いてドレスに手をかける。
……一人じゃ脱げないよね。ドレスってそういうもんだ。背中に便利なファスナーが付いているわけもない。ひもでぎゅーっと結いあげるとかボタンでびっちり止めるとか、そういう……ね。
サラはギルドに光魔法指導に行ってるんだよね。
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コミカライズ版1巻発売します~。
流刑地公爵妻で検索出ます。ながぁく覚えなくても大丈夫です。
めちゃくちゃ原作のノリを楽しんで描いていただいています。筋肉祭り開催されるので、ぜひお手に取っていただけると。
あと、レッドも素敵です。アリスはおばかわいいです。
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