【完結】大虐殺の魔王を目指す俺が「装備者の望みを逆の形で叶える呪い」を持った魔剣を抜いた結果魔王どころか英雄になってしまう話

蜂月八夏

プロローグ 大虐殺魔王になりたい青年


 俺は殺した。

 気に入らない目の前の人間を。

 俺は破壊した。

 気に入らない奴が大切にしていた根城を。

 俺は奪った。

 大嫌いな奴が命に変えても守りたがっていた宝を。


 切り掛かる人間をまるで虫を潰すかのように殺していく。

 肉を裂き、骨を砕き、首をもいで握りつぶす。

 口を裂いて口角を吊り上げ高らかに笑いながらさも楽しそうに。

 まさに魔王の所業。悪魔の行い。悪鬼の悪行。

 人々に恐れられ、非難されるべき大悪党。


 荒廃した瓦礫の中で何十何百という屍の山を積み重ね

 俺は死体を踏みつけその山の上に立つ。

 振り返り俺の姿を見ていた少女を見る。

 少女は体の震えを隠しきれずにいながらも必死に口を開いた。


「真の、英雄様……!!」

「……え?」


 状況をよく見ろよ。

 なんでこれだけの殺戮して死体の山の上に立ってる俺を英雄とか言うんだよ。

 おかしいだろ!!

 少女の後ろにもどんどん人が集まってくる。

 目を輝かせながら俺に対して歓声を上げ、感動の涙を流す。拍手喝采は止まらず俺を賞賛する人々はどんどん増えていく。

 俺の魔王計画、どうしてこうなった!?


 これは英雄が活躍する話とかじゃない。

 魔王を目指す俺が残虐非道を尽くす話なんだけど……

 何故か最終的に英雄呼ばわりされちゃう話である。

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