第6話千客万来
炊き出しの日には体調の悪い人に回復や状態異常回復などを俺はかけている
俺の魔法でほぼ回復するのだが 稀に体調が改善しない者がいる
今までは どう仕様もなかったが 一人の老婆が体調が治らぬまま教会に入り
跪いて祈り始めた するとマリアートが近くにやってきて老婆の頭に手を置いた
すると老婆の頭から黒いモヤが立ち上りそれを マリアートが掴むと光の粒子になり消え去った
「ああ 足の痛みが消えました ありがとうございます ですが この婆には
なんの供物を捧げることも 寄進をするこも出来ません お許しください」
「たまに悪いモノが人に悪さをすることがある 今回のはそれが原因じゃ
それに 供物や寄進を貰っても私にはつかえんからのう ああ 教会を 維持するのには必要か しかし一番大事なのは心からの感謝じゃ それさえあれば 供物や寄進など取るに足らぬ事じゃ」
続けてマリアートが言う
「朝と夕に家族全員で祈りを捧げるがよい さすれば お前の夫の腰の痛みも消えよう お前の孫の病弱な体質も改善するだろう」
「おお ありがとうございます」
その後 この老婆は言いつけを守り一家は全員健康になったらしい
この噂は国を超えて広がり 教会を訪れ祈りを捧げる人が増え
同時に孤児院の作物の美味さも評判になった
千客万来である
マリアートを囲おうとする者や 教会の資産を狙う貴族 王侯が暗躍し始めた
もちろん そんな輩は教会 孤児院に近づけないので 外に出ている孤児院の子を狙った
貴族に雇われたチンピラに作物を商店に卸に行った孤児二人が攫われそうになった
「おい ガキ共 懐に入っている金を出しな 大人しく出せば殴らねえでやる」
「ついでに こいつらを売っぱらちまおうぜ」
「馬鹿野郎 先ずはこいつらを人質にして孤児院を牛耳るのが先だろ」
下衆な笑いでチンピラ三人に囲まれて孤児たちは震えていた
「さあ とっとと出しな」
チンピラが手を手を上げようとした時
「ぐべっ」
チンピラの後ろからエドが棍棒で叩きのめした
「大丈夫か?二人共」
エドの他にも外街の人たちが武器を持ってチンピラを囲んでいた
「孤児院の子に手を出すとは お前ら この街の住人じゃないな」
「な なにをしやがる」
残り二人のチンピラが狼狽える
「そりゃあ こっちのセリフだ やっちまえ」
外街の住人にズタボロにされたチンピラは裸で縛り上げられクロノスの前に連れて来られた
「ザックもジュリも怖かったな もう大丈夫だ よしよし」
二人の頭を優しく撫でながら 縛られた三人を睨む
「エド助けてくれてありがとう で こいつら何か喋ったか?」
「クーマン伯爵に頼まれたらしい」
三人を小突きながらエドが言う
「そうか 分かった すまないが荷車を貸してくれないか?」
エドが荷車を持ってくるとクロノスは中央に柱を立てそれに三人を縛り付ける
そして三人の首にそれぞれ
(私たちは孤児を攫おうとしました)
(孤児院を支配しようとしました)
(クーマン伯爵の命令です)
と書かれた板を下げさせる
「衛兵に突き出してもすぐに釈放されるだろうから せめて街の人たちにだけでも
今回の事を知ってもらわないとな」
楽しそうに外街を荷車をゆっくり引いていく
「孤児を攫おうとしただって」
「なんて 恥しらずな」
外街の人々が騒ぎながら石を投げ始めた
裸で後ろ手で柱に縛られた三人に容赦無く石がぶつけられる
外街を歩いた後 南門から王都に入る
裸の男たちを見た女性は顔を背け 男は興味深そうに首から下げられた板を読む
ゆっくりと北門にある衛兵詰所に行き衛兵に男たちを突き出す
「取り合えず 誘拐と人身売買の容疑だ」
困惑しながらも衛兵が男達を詰所の牢に連れて行く
その夜予想通りチンピラ達は釈放され 王都を逃げ出した
次の日クーマン伯爵の屋敷の上にだけ暗雲が広がり激しい落雷で屋敷が炎上した
女神様の天罰だと人々は噂し
その後 クーマン伯爵は坂道を転がるように没落していった
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