第4話教会

教会


俺たち五人が教会の前に立っているとマリアが駆け寄ってきた

「もう クロノスどこ行ってたのよ?大変だったのよ」

プリプリ怒りながら言う

「何か あったのか?」

「後で話すわ それよりその子たちは?」

俺にくっついている四人を見ながら聞いてくる

「三人は戦災孤児で あと一人は現人神様らしい」

「えっ! 神様って コイデ神なの?」

「あんなのと一緒にしないでくれんかのう」

マリアートが嫌な顔をして答える



マリアと四人と教会に入る

目の前に鎮座したコイデ神の像をマリアートが低い声で

「屑神モドキが」と呟き

「のう クロノスよ こんな物を置いていても災いしか呼ばんぞ

壊してくれんかの?」


俺も昔から気に入らなかったのでマリアに同意を求めると小さく頷く

彼女も嫌いらしい


「燃えろ」

言うと像は一気に燃え上がり瞬く間に消炭になった

壊れた椅子や割れた窓 そして今出来たばかりの消炭と散々な室内で

(まずは 教会を取り壊すかな)と考えていると

[儂の新たな神殿として立て直してくれまいか?]

マリアートが裾を引っ張って頼んでくる

「まあ それは追々考えるとして 孤児院に案内するよ」


孤児院に入るとブランさんが宙を漂っていた

孤児院裏に畑を作る事になった時 元が墓地だった為 爺ちゃんが浄化の魔法を

掛けた時に一人だけ浄化を拒んだ人?だ

当時は既に孤児院として機能しており 十数人の子供たちが暮らしていた

ブランさんは本人が 子供がまだ小さい時に亡くなって それが気掛かりで成仏しなかったらしい

それがあって小さい子供達がいる 今の環境が気に入ってるそうだ

「だから お願いです 悪いことはしませんから 子供達の成長を見守らせて貰えませんか

実体はありませんが 念動力で子供達のお世話は出来ます」

爺ちゃんが呆れながらも了承して 今は孤児院の管理を任せている

「「「あー幽霊だ」」」

シャルロット リリエル マオの三人が叫ぶ

「安心せい おまえの息子は良き人生を全うしたぞ」

マリアートがブランさんに話しかける

「そうなのですね 安心しました ですが 新たに子供も増えたようですし まだまだ子供達の世話をしたいのです 神様どうかこのままで居させて下さい」

ブランさんはマリアートが神だと分かるのだろうか マリアートに懇願している

「ここの子供達が気になって どうせ成仏は出来んだろうから 無理にそんなことはせぬよ」

マリアートが優しく微笑む


シャルロット リリエル マオをそれぞれの部屋に案内し

マリアとお茶を飲みながら先程の話の続きを聞く

「で 何があったんだ?」

「国から食料を差し出すように言われたの」

ここには広大な麦畑と畑がある

土壌改良や土魔法のおかげで高品質で収穫量もかなりある 

おまけに害意を持ったものが入れないよう強い結界が張ってあるので

魔獣や害虫による被害も無い

国は戦争中で男手は戦地に送られ農地は荒れて作物が足りない状況らしい

そこで穀物蔵が三錬あるここに目を付けて接収しようと企んでいるのだろう

「放って置けばいいさ 無理矢理奪おうとしても 害意あるものは

ここに入れないからな それより現人神も来られたことだし教会を立て直すか?」

「そうね どうせコイデ神教から 援助を受けてる訳でもないし マリアート様の

神殿を作りましょうか」


「なら 先ずは金だな」


俺はギルドにダイヤコングを持ち込オークションの手続きを頼む

帰りに孤児院出身の職人たちに声を掛けて明日孤児院に集まってくれるよう

お願いしておく


「明日は教会の解体だな」

考えながら眠りにつく

朝目を覚ますと両脇にシャルロットとリリエルが 

腹の上には香箱座のマオが寝ていた

それぞれの部屋にはちゃんとベッドもあったはずだが

朝食に呼びに来たブラウさんに事情を聴くと三人共俺を探して夜中に院内を彷徨っていたらしく

見かねたブラウさんがここまで連れて来たら三人共静かに寝たとの事


朝食を終え皆で教会に行くと もう孤児院出身の職人達が集まっていた

「おはようございます 皆さんお忙しいのにすみません」

挨拶すると

「クロノスの頼みなら さっさと行けって親方に怒鳴られたよ」

大工職人のエドが笑いながら言う

「じゃあ 皆悪いけど 教会の解体を頼むよ」

「「「まかしとけ!!」」」

職人たちが建物を壊し 廃材を子供達が一か所に集める

「獄炎」

クロノスが廃材を燃やし尽くす


更地になったところでマリアートが

「まだ 奴の残滓があるの」

手を地に着け

「天聖化」

マリアートが唱えると光の柱が立ち上りキラキラと消えていく

「ふむ これで良かろう」

満足そうに微笑むとエドに建物の詳細について話をする為去って行った




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