第7話
「内容は理解出来ました。それで、俺の事を守ってくれる冒険者って既に目星はついているんですか?」
「えぇ。既に話は通してあるわ。もうそろそろここに来るはずよ」
既に話を通してある?まだ話を始めて十分も経ってないのに?
昨日、俺がこの町に来た時点で手回ししてあったってことか。
まぁ、冒険者ギルドはそこそこ巨大な組織だろうし方法なんていくらでも有るだろう。
「なるほど。素早い対応ありがとうございます」
後はギルドマスターが声をかけた冒険者と上手くやれるかどうか…
そのぐらいギルドマスターだってわかってるだろうし。そこまで心配はしてないけど。
「それじゃ、彼が来るのを待っている間に冒険者登録を終わらせてしまいましょう。名前を教えて貰うだけで直ぐに終わるわ」
やけに簡単に登録出来るんだな。
いやまぁ、そんなもんか。冒険者ってなるだけなら誰でもなれるって感じらしいし。
少し待っているとギルドマスターが俺の名前が彫られた木製のドッグタグを持って帰ってきた。
「ランクが高くなると偽造防止が施されていたり、素材が豪華になるんだけど。冒険者は誰でもなれる分ランクが低いときはこんな感じの簡素なものなのよ。まぁ、追加のお金さえ払って貰えれば低ランクでも豪華な冒険者証に出来るけど…」
そういうの興味ないでしょ?とギルドマスターが続ける。
「そうですね。冒険者証として使えるなら素材なんて何でも良いです」
多分だけど。そういうのを気にする貴族とか自尊心がもの凄く高い人用の制度なんだろうな。
個人的にはランクが低いのに態々お金を払って豪華な冒険者証を使うなんて、「自分は実力で冒険者ランクを上げることが出来ません」って言ってるように見えちゃって逆にダサいと思っちゃうけど。
だってギルドマスターの説明通りなら、お金なんて払わなくても実力で冒険者ランクを上げていけば冒険者証は勝手に豪華になっていくんだから。
「まぁ、貴方なら直ぐに冒険者ランクも上がるでしょう。…来たみたいね」
ギルドマスターがそういった直後ドアがノックされる。
気配を察知したのか?まぁ、冒険者としてやっていくなら必須技能だよな。
仙術には探知、察知系の技術も有るみたいだから、これもしっかり練習しとかないとな。
ギルドマスターが「どうぞ」と答えるとドアが開かれて熊みたいな大柄の男性が入って来る。
「どうして《白銀の大鷲亭》の亭主がここに?」
部屋に入ってきたのは俺が泊まっている宿
《白銀の大鷲亭》の亭主だった。
「ほぼ、引退状態だけど。一応この町で最高ランクの冒険者なのよ」
たしかに見た目は宿の亭主というより冒険者って言われた方が納得できるな。
「ヒデです、よろしくお願いします。…えっと」
「バエルだ宜しくな」
バエルさんね。覚えた。
「それじゃ早速、冒険者として外に活動しに行きたいんですけど」
「やる気があって良いな!それじゃ早速、町周辺の森に行くとするか」
そう言ってバエルさんはギルドマスターに挨拶もせずに一人で部屋を出ていってしまった。
「ギルドマスター。自分の為に色々ありがとうございます」
「バエルがいるからって油断しないようにね」
「ご忠告ありがとうございます」
ギルドマスターにお礼を言って急いでバエルさんの後を追いかけた。
「今日は特に依頼は受けずに周囲にある森で一番に難易度の低い南の森に行こうと思う」
依頼を受けなくても魔物は素材を買い取ってくれたり、討伐証明となる部位を持って帰ってきて冒険者ギルドに提出すれば討伐報酬としてお金が貰えるので、依頼を達成する事だけが冒険者としてお金を稼ぐ方法じゃない。
冒険者ランクを上げるには依頼を達成する必要も有るから。
ランクを上げるなら依頼を積極的にこなすのが良いらしいが。
「はい、それで構いません」
「よし。それじゃ今すぐ南の森に向かうぞ」
小走りで移動を始めたバエルさんの後ろをついて行く。
「ここからは弱いとは言え魔物が出るから。念の為、歩きで警戒しながら進むぞ~」
町を出て目的地の南の森に到着すると同時に小走りを止め、少し警戒をしながら森の中を進む。
俺は仙力を目に集中させる。
こうする事によって魔力や気力等の通常目に見えないエネルギーを可視化出来るようになる。
エネルギーは障害物を透過して見る事が出来るので、魔物や野生動物を探すのに便利だ。
ちょっと歩いたところに身長90cmぐらいのワーウルフっぽいシルエットが確認できた。
後は木の枝に止まっている小鳥のシルエットがところどころに見える。
生物から発生するエネルギーは、こんな感じでその生物のシルエットみたいに見えるので、どんな魔物や野生動物がいるかも判別出来る。
制御できなくて暴走させてしまう可能性を考慮しながら慎重に発動させたけど。
今のところ仙術が制御出来なくて危ないって感じはしないな。
どのぐらいまでの事なら問題ないのか、ぼちぼち確認もしておかないとな。
因みに今回、見つけた背の低いワーウルフのシルエットの正体はコボルトだろう。
コボルトはゴブリンと並ぶ最弱クラスの魔物。
始めて戦う相手にちょうど良いだろう。
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