第2話
「それで、君はどんなスキルが欲しい?」
「そうですね…不老不死は無理としてものすごい長生き出来るようになるスキルとか?
あぁ、でも戦闘力が無ければ異世界じゃ生きて行けないか…」
詳しくは聞いていないけど。スキルとか言っている時点で、俺が想像するような剣と魔法の世界っぽいし。
長い寿命を手に入れても直ぐに死んでしまう可能性が高い気がする。
「そんなに悩まなくても、鍛えれば不老になれるし戦闘にも使えるスキルがあるから、それをあげるよ」
不老不死とまではいかないけど、不老の存在になれて戦闘にも使えるスキルね。
寿命で死ぬ事は無くなるし。戦う事が出来る十分すぎる。
もの凄くチートスキルの香りがプンプンする
「…その代わり凄いデメリットが有るとか?」
どうしても、そういった事を考えてしまうよね。
「特にデメリットは存在しないよ。敢えて挙げるとしたら不老になるには相当スキルを使いこなせるように鍛える必要はあるけど」
スキルを鍛えるのに手間取ると不老になっても
おじいちゃんになっちゃってる。
…いや、それでも不老にたどり着くことが出来たなら十分。
不老にたどり着くことが出来ず死んでしまう可能性だってある…
たしかにデメリットとも言えなくは無いか。
「う~ん。他に、もっといい選択肢有りそうだけど…」
今の条件でも問題なさそうだけど。
これからの人生を左右する重要な選択だしもっとしっかり考えた方が…
「あ~悪いけど。もう時間切れだね。それじゃ、またね〜」
「は?」
そう言って謎の子供は手を振りながら電車の上から消えた。
次の瞬間、身体全体に物凄い衝撃を受けて意識を失った…
─────────────────────
「ハッ!」
上半身を起こして辺りを見渡す。
どうやら森の中のようだ。
さっきまでの出来事が現実なら俺は電車に轢かれて死んだ後、謎の子供によって異世界に転生してもらったって事だろう。
「異世界についての基礎知識と貰ったスキルについての基礎知識は頭の中に与えられてるみたいだし。暗くなる前に町に行かないと」
冷静に考える事が出来ている自分に少し驚いてはいるけど。
明かりが一切ない森の中で一晩過ごす事になるのはゴメンだ。
謎の子供から与えられた記憶を頼りに町のある方向に向かって歩き出す。
途中で魔物や盗賊に遭遇してしまったらぶっつけ本番でスキルを使って戦闘をする事になるけど……
まぁ、謎の子供から与えられた知識には、この周辺は魔物も盗賊も少ないらしいから大丈夫だろう。
とは言え少ないだけでゼロでは無いので襲撃を警戒しながら森を歩いていると直ぐに町に続く道に出ることが出来た。
(道と言っても轍や馬、人の足跡が沢山残っているだけで、別に整備された道という訳じゃない)
若干フラグを建ててしまったか?と警戒していたけど。
特に何事も無く町の入口にたどり着くことが出来た。
町は高さ2mぐらいの石造りの壁で囲まれている。
割りと簡単に破壊されそうだな。
町と言っても田舎に有るギリギリ町と呼べる規模らしいし。
こんなものなのだろう。
「うん?初めて見る顔だね~それに初めて見る服装…ひょっとして異世界人だったりする?」
異世界人の存在が普通に認知されてると知識には有るけど、なんか不思議な気持ちになるな。
俺以外にも普通に異世界人がいるから地球の知識を使って無双!!みたいな事は、出来ないだろう。まぁ、初めからするつもりは無かったけどね。
「ええ、まぁそうですね。町に入るにはそのオーブに触れて、お金を払えば良いんですよね?」
そう言って門番をしている兵士のとなりに設置してあるオーブを指差す
謎の子供から与えられた知識が間違っていないなら。
あのオーブは触った生物の種族を表示するもので、俺が触れると
問答無用で異世界人とバラされてしまう。
人に化ける魔物もいるらしく、そういった魔物が町の中に入り込まないようにする為の道具なので触れるのを拒否する事は出来ない。
正確に言えば触れるのを拒否する事は出来るけど、その場合は町に入る事が出来なくなる。
「ファルセル様から、この世界の知識をしっかり与えられているようだね。それじゃ早速オーブの上の手をおいてくれるかな?」
ファルセル様?
…あぁ、あの謎の子供の事か。
恐らく、この世界の神様なんだろうけど自分についての知識は一切くれなかっただよね。
落ち着いたら教会にでも話を聞きに行ってみようかな。
謎の子供ことファルセル様のことは一旦置いておいて門番に言われた通りオーブの上に手をおくと、オーブが光オーブの中に《異世界人》の文字が浮かび上がる。
「種族の確認と町に入る為の税金の支払いも
オッケーだな。ようこそヒャルムルへ歓迎するよ」
俺が地球で使っていたビジネスバッグも一緒にこの世界に持ち込まれていて、中にこの世界のお金が入っていたので、それから入町税?を払って町の中に足を踏み入れた。
─────────────────────
読んでいただき有難うございます。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます