1-13.もうわけがわからないよ
どこからか聞こえてきた爆発音。
なにか、嫌な予感がする。
「早くアンを見つけないと」
「どっちに行く?」
「いやいや、魔王様が決めて下さい!」
「えー……二手に分かれるとか……」
「無理です無理です!僕攻撃魔法持ってないんです!」
マジかよ。じゃあいつものやつに任せるか。
【二択で一択を選んでくれるやつ、よろしく】
練り上げた魔力が、何かの形を形成していく。
「こんな適当な詠唱でもいけるんですね……」
それは私も思ってるけど。もう少し言葉を選んでほしい……
やがて、木の棒が目の前にぽとんと落ちた。
「これは……?」
「これが倒れた方に行く、ってやつかな……」
「ええ……」
僧侶の魔王への忠誠ポイントがごりごり減っているような気がする。
「まあ、やってみようか……」
棒を持ってエントランスの真ん中に立ち、それを地面に突き立て、ぱっと手を離す。
ぱたり。
倒れたのは、左だった。
「よし、行こう」
「これで大丈夫なんですか!?」
私が知りたいわ。
ともかくエントランスの左側のドアを開け、私と僧侶は絶句した。
「こ、これは……」
「どうなってるの……?」
ドアの先には断崖絶壁が広がっていた。ごつごつとした岩肌が並ぶ谷の両側に、いくつかの白い建物が点在している。
外から見たら四階建ての兵舎にしか見えない
「これは、幻覚系の魔法……?」
「それにしては規模が大きすぎます……それに、寒い……」
本当に、まるで山の上にいるかのような寒さだ。エントランスよりも息苦しく感じるし、一体どうなってるんだ?
びゅおぅ
「あっ!」
私の被っていた麦わら帽子が、突風に飛ばされて谷底へと消えていった。
「幻覚じゃ、ないみたいですね……」
原理はともかく、こうも広いと、どこにアンがいるのかさっぱりわからない。
「とりあえず、選択肢は2つ。戻るか、崖を降りるか」
「王城を賢者様と出たときみたいに、飛ぶ
………………………………
彼らの間を悠々と通り抜け、優雅に詠唱。
「【飛ぶやつ、よろしく】」
(出典 1-4)
………………………………
あー。そりゃ、見てるよなあ。
「あれは……無防備すぎる。オススメはしない」
僧侶が防御に回ってくれるならいいのだけど、攻撃魔法を1つも持ってないというなら、あの絨毯はかっこうの的になってしまう。聖十字軍は16人らしいから、まだ半分以上残ってる……
「では、引き返しましょうか……」
「それがいい……」
と、二人で振り向いた瞬間。
「「あ」」
ドアが消えていた。
「は、はめられた……」
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