ギルベキスタ
魔術の家の中でベイケとギルベキスタの戦いが始まった。
両者が魔力を集中させ、にらみ合っている。
「あなたは、つまり、何を教会から奪ったのだ」
ベイケが質問する。
「わたしが奪ったものは、世界の物質が動く原理だ」
ギルベキスタが答える。
教会は、世界の物質が動く原理をギルベキスタに奪われたのか。
「わたしを倒して、世界の物質の動きをもとに戻したいのか」
ギルベキスタがいう。
ベイケは考える。ギルベキスタ以前の物質の動きなど、ベイケはまったく知らないのだから。それはベイケが生まれる遥か昔にあったものであり、ベイケは一度もそれがどんなものか体験したことがない。
ベイケはうまく答えられずにいる。
ギルベキスタがことばをつづける。
「わたしを倒しても、世界の物質の動きはもとには戻らないぞ」
それを聞いて、ベイケは迷う。
どうしたらいいんだろうな。世界級の魔術師と戦うというのは。
ギルベキスタに勝った時、ベイケは世界の物質の動きをベイケの決めたように作り変えることになるのかもしれない。
ミシアは興味深く観察していた。ベイケの先制攻撃がギルベキスタに通用するだろうか。最初の一撃を放つのがベイケなのか、ギルべキスタなのか、ミシアは興味深く観察していた。この地域の世界の物質を掌握しているという魔術師ギルベキスタなら、ベイケの攻撃先取りを抑え込むことができるのだろうか。
どちらが先に攻撃をするだろうか。教師エンドラルドとの戦いでは、ベイケは八回連続で先に攻撃して、その間、一度も教師エンドラルドに攻撃させる隙を与えなかった。
ギルベキスタはそれよりも優れているだろうか。
ベイケとギルベキスタの二人が立ち合ったまま、動かない。ベイケは当然、狙っている。ギルベキスタの攻撃を先取って攻撃することを。
しかし、世界を掌握しているはずのギルベキスタはそのようにベイケが戦うことを知っているはずなのだ。
毒魔術。
ベイケが先に攻撃をしかける。
しかし、ベイケの攻撃を先取って、ギルベキスタの雷撃がベイケを攻撃する。ベイケは強烈な雷撃をくらって、全身が痛み、集中力がとぎれそうになる。
ギルベキスタの攻撃を先取ることはできなかった。慎重に、時空を毒魔術で浸食して戦わないとまずい。ベイケはすぐに反省した。
落ち着け。ギルベキスタだって万能ではないはずだ。
ちゃんと隙はある。
ギルベキスタが二撃目の雷撃をベイケに向けて放つ。
ベイケはその雷撃の時空を把握して、毒魔術で浸食して、ギルベキスタの攻撃を先取って毒魔術で攻撃する。
ベイケの毒魔術がギルベキスタに当たる。
やった。ベイケの攻撃が一度はギルベキスタに命中した。これは驚くべきことだ。
勝ち目はある。ベイケは慎重になりながら、そう考えた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます