廃ゲーマー悪役転生~闇落ちルートで仲間になる悪役に転生して、ステータスカンスト目指します~
新条優里
少年編
第1話半魔転生
「ああああああぁぁぁぁ、ゲームしてぇぇぇぇぇー----」
目の前の美しいメイド服の少女は怪訝な顔で俺を見ている。
少女はソフィアという名前だ。
「ゲームですか? チェスとか?」
「TVゲームがしたい! 特にRPGだよ!」
「てれびげぇむ? あーるぴーじー? 何を仰っているのですか、」
俺は気付いてしまった。
寝る間も惜しんでゲームしてたら、睡眠不足で亡くなってしまいゲームの世界に転生してしまったことを。
転生して直ぐはそのことに気付いておらず、怠惰な悪役貴族として過ごしてきたが、俺は日々何かの衝動に悶えていた。
それが何か分からず日々悶々としていたが、ある日思い立ったように叫んでみた。
そしたら思い出した。
俺のやりたいことはゲームで、ゲームのやりすぎでゲーム世界に転生したことを。
「大丈夫ですか?」
「全然大丈夫じゃない。ゲームがやりた過ぎて禁断症状が出そうだよ」
「もう出てると思いますが?」
完全に呆れられている。
若しくは、話が通じな過ぎてヤバい奴と思われたかもしれない。
俺が転生したのは大罪英雄と運命の勇者の世界だった。
かつて世界を救った英雄達が闇に堕ち、人類に敵対する。
その英雄達を運命の勇者が打倒すという物語だ。
システムとしては、フリーシナリオ&マルチエンディングのファンタジーRPGだ。
レベルアップの概念はなく、キャラクターの行動でステータスが上がるというシステムだ。
俺は全てのシナリオとエンディングが見たい為に寝る間も惜しんでやり込みプレイを続けていた。
その結果がゲームの世界に転生したという現在の状態だ。
俺、エリアス・フォン・ディートリヒは公爵レオン・フォン・ディートリヒと、男性を誘惑する女悪魔サキュバスのレイラとの間に生まれた半魔である。
原作では人間と魔族どちらからも迫害され、闇落ちするキャラである。
原作主人公が仲間にする場合、悪事を繰り返し、主人公自身も闇落ちするルートでないと仲間に出来ない。
エリアスを仲間にする時に言われる台詞が『お前も闇に堕ちたか。ならば共に行ってやらんこともない』というものだった。
やり込みプレイヤー達は、闇落ちルートのラスボスが倒したいので、わざと悪事を働き敢えて闇落ちルートに進むのであった。
こうやって大罪英雄と運命の勇者のことを思い出していると、ゲームが無性にやりたくなってきた。
モンスターを倒し、ステータスを上げたくなってきた。
「エリアス様、何かお悩み事でも? 私でよければ相談に乗りますが?」
「ごめん、ソフィ。君には解決出来そうもないよ」
「そんな……ソフィはエリアス様のお役に立ちたいです」
俺がやりたいのはゲームだ。この世界にはゲーム機がないし、誰も俺の望みは叶えられそうもいない。
「エリアス様、よく分かりませんがゲームがしたいのですか? 一緒にチェスでもどうですか?」
俺はチェスのルールが分からなかった。将棋の基本的なルールは知っていたし、乗り気ではなかったが、軽い気持ちで受けてみることにした。
「分かった。ルールを教えてくれるか?」
「かしこまりました」
俺はソフィアからチェスの駒の動かし方を習った。
相違点がいくつかあったが、将棋に結構似ている点もあると思った。
ソフィアはチェス盤を用意してくれて対戦した。
ぼろ負けだった。
何回負けたかも分からない。
「ソフィのバカー--」
俺はやっぱりTVゲームがしたい.。
そしてモンスターを倒して、最強になりたい。
チェスは弱いけど、ゲーム、特にRPGに対する執着心なら負けないという自負があった。
「あ、エリアス様、お待ちください!」
俺はソフィアの制止も聞かず、部屋を飛び出した。
モンスターを倒しまくってステータスカンストまでもっていくんだ。
「ステータスオープン!」
部屋をでるなりお決まりのステータスオープンを唱えると、宙にステータスが表示された。
名前:エリアス・フォン・ディートリヒ
種族:半魔(人間とサキュバスのハーフ)
年齢:7歳
HP:10/10
攻撃力:1(+3)
防御力:1(+10)
敏捷性:1
器用さ:1
魔力:1(+30)
魔法防御:1
スキル:
魔法:
装備:木剣、貴族の服、フェニックスリング、サキュバスリング
()内は装備補正値、フェニックスリングの効果でHPが0の状態になっても1度だけ自動復活できる。
剣熟練度:1
体術熟練度:1
斧熟練度:1
槍熟練度:1
弓熟練度:1
人間度50:魔族度50
俺はステータスの弱さに落ち込むことはなく、今後の伸びしろにワクワクした。
スキル欄と魔法欄が空白なのも良かった。
既にいくつか所持していたら、習得する楽しみが減ってしまう。
つくづくゲーム脳だと我ながら思う。
ステータスが上がるあの気持ち良さったら、他に代えがたい。
今後が楽しみだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます