第22話 リメンバー・パールハーバー

「海原明、随分勝手なことを」

「それに海原ナギ、奴は米帝の犬となった」

「極大戦力を手に入れた米帝…このままではパクスアメリカーナの再来となるだろうな」

「いや、恐らくもっと上の、極超大国として君臨することとなるだろう」

「なんとしても阻止しなければ、このままでは我が国は永遠に米帝の犬である」

「ふふふ、問題ない、計画は進んでいる?」

「計画だと?」

「海原ナギには消えてもらう、場所は真珠湾だ」

「真珠湾ごと、いやハワイごと海原ナギを消し飛ばす」

「ふむ、進捗は?」

「最終段階だ」

「よろしい、我ら【黒き旭日】はその計画に戦力を総動員する」

「総動員、兵器系スキル持ちを投入するのか!」

「さあ、米帝よ、決戦だ、リメンバー・パールハーバー、だったか?」






「うおー、すげえな、雲が下に見えるぞナギ!」

「ガキじゃないのだし、騒ぎすぎ、直樹、全く…」

現在、俺と直樹は太平洋を787で横断中だ。

…あの後、まあ割愛するが本当に色々とあってだな。じいちゃんは政府に拘束されている。

あとダンジョン協会に襲撃があったみたいで大混乱だ。

そんな中、いつのまにかアメリカ国籍を付与されていた私は取り敢えず、米国領ハワイに避難することとなったのだ。え、直樹?まあついでだ。因みに家族はアメリカ大使館に保護されている。

そして由美は、なんか消息不明らしい…まあ、あいつなら大丈夫だろう、なんたって、あの子は強い。

更に朗報、私と直樹はオーパーツである指輪タイプの万能翻訳機を与えられた。これで共通テスト模試英語7割でも問題ないな!

そんなこんな、していたらいつの間にかハワイに到着していた。

私たちを乗せた787はダニエルKイノウエ国際空港に着陸する。

ダニエル氏と言えば第442連隊としてドイツと戦ったという日系人だ。

ダニエル氏は間違いなく勇敢なアメリカ人であった。

…じゃあ、私はどうなんだろうかな?外見は白人、だが合衆国おいて白人であるというのはマジョリティということしか意味を持たない。アメリカ国籍を持っているが…別に私はアメリカ育ちというわけでもない。結局、私はただのアメリカかぶれのガキなのかもしれない。まあ、べつにそれでいいか。

「おいナギ、何ボーとしている?さっさと降りる準備をしろよ」

「む、そうだね」

そんなわけで、私は初めての海外、ハワイの大地へと私たちは降り立ったのだった。






「ひさしぶりじゃな!ナギ、直樹」

空港内を歩いていた俺たちにそう声を掛けてきた人物。

「はぁ!?」

直樹が驚愕の声をあげる。

そこには金髪碧眼の古っぽい赤い軍服をきた14歳ほどの少女。

「ああ、アルね、久しぶり」

そうアル茶ことアル、ダンジョンで激闘を繰り広げた因縁の相手だ。

「クソ、ナギ、さっさとスキルを」

「待って、直樹、アルは敵じゃない」

「なに!?いや、しかし」

「田舎での騒動の時色々と助けてもらったんだ」

「…そうかよ、ナギが言うなら俺はそれに従うよ」

「…ありがと」

「…な、ふん」

感謝の言葉を直樹に述べるとなぜか彼は顔を赤くしてそっぽを向いてしまった。

「ふふふ、若いのう」

こほん。

「それで、今回はアルが案内してくれるってことでいいんだよな?」

「そうじゃ今後の計画を含めて、の」

「…ねぇアル、それは内密だと」

「問題ない、今は拡張スキルで防諜結界をはっておるからの!」

「相変わらず多才だなぁ」

「…おいおい、ナギとアル…さんとやら、話に全くついていけないが?」

「そうだな、直樹にももう話しておこう…実は私もろともハワイを海に沈ようと計画している奴らがいるらしくてね」

「おいおい、まじかよ…」

「逆にそれを利用して、正面から叩き潰して、奴らを一網打尽にするって計画」

「…いや、普通にリスク高すぎだろ、他に手立てが絶対あるだろう?」

直樹が呆れたように言う。

「何を隠そう、ナギとハワイを攻撃しようとしているのは、直樹、お主の国の連中じゃよ」

「…うん、もう帰っていいいか、つまりアレだろ、二度目の真珠湾攻撃の如くの計画がアメリカをぶち切れさせたといったところか、それで逆に撃滅してやるって過激な反撃計画を立てたってわけかよ」

「まあ、そんな所じゃ、全く我が盟友USも怒りっぽいの…それかナギという極大戦力を手に入れた故の余裕かのう…慢心にならなければよいのじゃが」

「まあ」

私は一歩前へ出る、結界の外へ。

そして振り返り、言う

「合衆国的にも、リメンバー・パールハーバー、ってことなのでしょうね」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る