71. 課金装備と装備強化
「こんにちは」
「ナツ、いらっしゃい。今日は可愛いペット連れてるのね。……その恰好と可愛いペットの組み合わせもギャップがあっていいわね!」
「は、はぁ」
レキ達とカフェで優雅な一時を過ごした後、私達は新たな装備を求めてルビィさんのお店へと来ていた。
「えっと、実はちょっと資金が出来たので、追加で何かいい装備は無いかアドバイスを頂けないかと思って」
「おお、ナツも頑張ってるみたいね。そういう事なら勿論協力させてもらうよ。ちなみにどんなパラメーターを上げたいとか要望はある?」
「そうですね。結構筋力不足で苦労することが多いので、そこを補えれば。あとは私の戦い方が回避特化な感じなので、今着けているコンタクトみたいに回避が上がる装備があると助かるのですが……」
私は常に枷を着けているので、筋力と機動力に常時デバフが掛かっている。筋力低下のデバフは、私の一番の火力不足原因になっている為、そこを装備で補えるとありがたい。
ちなみに、機動力に関しては敵との機動力差によって回避スキルの上昇に補正が掛かるので、回避スキルがカンストするまでは装備によるアシストは不要だ。
「ふむふむ。ちなみに、予算はどのくらいあるの?」
「10Mぐらいまでなら大丈夫です」
「……そんな大金どうしたの? まさかその歳で課金沼にハマったんじゃ」
「違います、違います! えっと……詳しくは言えないんですけど、色々あって資金が溜まったんです!」
一瞬、運営からのモニター依頼の報酬としてもらったと言おうかとも思ったのだが、流石に依頼報酬で10万円相当のゲームマネーを貰ったなんて嘘臭すぎる。結局上手い言い訳が見つからず、回答を濁すことしか出来なかった。
ちなみに貰った額を全部使えば15Mは出せるが、装備以外に何か入用になるかもしれないので余裕を見て10Mを装備予算にした。
「そんなはぐらかせ方をされると逆に心配なんだけど。……ナツ、危ないことはしちゃ駄目だからね。まぁ、私も高校の時にヤンチャした方だから、あまり説得力ないんだけど」
「大丈夫です! これは決して怪しいお金とかじゃないんで!!」
言い方を間違えてルビィさんを心配させてしまったようだ。次からはちゃんと設定を考えてから買いに来なくては。
「まぁ、10Mあれば結構選択肢増えるわね。……ぱっと思いつく選択肢は2つ。1つはコンタクトの強化。2つ目は『殺し屋のグローブ』ね」
課金装備の中には一部強化可能な装備が存在して、強化には同種の装備を素材する必要があるらしい。強化回数も装備によって決まっていて、強化回数に応じて必要な素材数も増えていくとのこと。
ちなみにコンタクトの場合は+3まで強化することが出来て、+1に1個、+2に2個、+3に3個の同種装備が必要。つまりコンタクトをマックス強化する為には同じコンタクトが6個必要で、素材代だけでもトータル2.4M必要になる。
もう1つの提案内容である『殺し屋のグローブ』とは筋力に上昇補正効果があり、更には暗器でのダメージにも上昇補正が掛かる課金装備で、こちらも+3まで強化可能。強化に必要な素材代は1.8Mだった。
ちなみに私が使っている茨の短剣をルビィさんに見てもらった所、刃渡り的にギリギリ暗器分類として補正対象に入っていた。
「その時によって課金装備の価格は結構変わるから絶対とは言えないけど、素材の代理購入の手間賃と強化作業代も合わせて6~7Mで足りると思うわ」
かなり高額だけれど、装備から受けられる恩恵は大きい。7M使ってレキやパルの危険性が減るのであれば、惜しむほどの金額ではない。
「分かりました。装備の購入と強化お願いします。料金の支払いは前と後どちらになりますか?」
「代理購入だけでも結構使うから出来れば前払いがありがたいわね。でも結構な額だけど大丈夫?」
「はい、大丈夫です。コンタクトとお金渡しておきますね」
私は今着けているコンタクトと7Mをルビィさんに渡し、装備購入と強化をお願いした。
「作業が終わるのは仕入れ状況次第になっちゃうけど、多分1週間あれば出来ると思うわ。終わったらメールするわね」
今日はなかなか濃い1日だった。今日1日で軽く10M以上使っちゃったけど、今後そんな日がまた来るのだろうか。……少なくとも、あのおしゃれなカフェへ気軽に行ける程度には稼げるようになりたいな。
尚、殺し屋のグローブは初期状態だと綺麗な状態で、今の装備と見栄えが合わないのでダメージ加工をサービスでしてくれるらしい。
けれど、結構な額を掛けて購入した装備が、最初からボロボロの状態というのもちょっと複雑である。……まぁ、私の新装備は全て最初からボロボロ状態なので、今更なのだけれど……。
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