第4話 16歳に戻った一華



 一華は高慢チキで手の付けられない女の子だったので、あっさり神様に目を付けられ……あの世送りとなったが、信じられない事にあの一華が死ぬ間際に、唯一きったな~い野良猫を助けた。

「エエエエ————————ッ!あの一華が?」


 実は…あんな子だったが、小さい頃から猫だけはだ~い好きだった。だから……首の皮一枚繋がってしまった。


”アアア嗚呼ああああああアア…………神様も余計なことを?”と言っても死んで生まれ変わって異世界転生しただけの事だが……。


     ◇◇

 新たな世界『ヴィエノワ-ル王国』に異世界転生した一華だったが、そこで微かに気に掛かる男の子が現れた。


 そうレニー王子に密かに恋している一華。だが、残念な事にレニー王子には、いつも美しい女性が付きっきりだ。


 やっと戦いに勝利して安心していたのも束の間。レニー王子には、9歳年上の25歳の魅力的で美しい女性が、いつも付かず離れず側にいる事に気付いた一華だった。


 怪しげな美しいあの女性は一体何者なのか?

 

     ◇◇

 

 レニー王子の側に付かず離れずいるあの美女は一体誰なのか?それも…16歳のレニー王子はまだ少年ではないか、そんな子供をさも……そそのかすような、あの妖艶な美女。あれほど魅力的な美女が側にいては学業にも身が入らなくなって、堕落してしまいそうだ。まだ、愛だ恋だと言うには早すぎる。

 

 一華は余りの美女にやっかみも混じったお節介で頭の仲が一杯だ

 

 それでは、あの美女は何故レニー王子の側にいつも付かず離れずいるのか?

 

 

実は…この美女は、なんと『ヴィエノワ-ル王国』の貴族の最高位公爵様のお嬢様だった。そして…レニー王子の父レオナルド王の親友があの美しい女性の父エドワ-ド公爵だった


 更には、この女性の名前はエリ-ゼ公女。父親同士が子供の頃からの知り合いで、子供同士も幼い頃から年の離れた姉と弟のように育った仲だった。


 これでは一華は自分とは余りにもかけ離れ過ぎた、これだけ位の高い「公女」であるのならば、この美女に到底手も足も出ないと悟った。


「だが、ひとつだけ勝てるものがある。ウッシッシッシ―!何を落ち込んでいる暇があるのよ。私には若さがあるじゃないの。ピ~ッチ!ピチ!あんな年増のババアと違ってレデイ!レデイ!あと10年もすれば只のおばさんだ。フン!負けて堪るか!」


 こうして『デーモン鬼龍』の元に駆け付け、元の年齢に戻して貰うべくワイロ攻めの日々が続いている。


 祖父が大企業の社長だったので、孫に甘々でこんな高校生に何とクレジットカードの最高峰ブラックカードを与えていた。


「何か有った時に困るだろう。いくら使っても良いんだよ。私の可愛い孫一華」

 

  こうして財布の中には燦然と輝くブラックカードが入っていたので、あの日死んだ時に異世界転生先にチャッカリ鞄も一緒に持参していた一華。


「『デーモン鬼龍』閣下、どうか……どうか……このブラックカードをご自由にお使いください。その代わりと言っちゃ……なんですが……テへへへ……あの~私を……あの~私を……テへへへ……元の年齢に戻して下さい。何なら『現ナマ』もほ—れ!」


 そう言ってカバンの底から金貨を『ジャラリ』『ジャラリ』机の上に放り出した。


「一華お前というガキは何故そんな事までして16歳に戻りたいんだ?お前のような身分の低い幼児が16歳になっても、な~んにも良い事が無い。この国ではお前は奴隷が妥当だ。お前さんが幼児だからレニー王子も王宮で大切に面倒を見てくれているが、お前みたいな者16歳になったらこの国ではただの奴隷だ!」


「残念でした。私は現世では超優等生で頭が良かったのです。だからこの国の為にこの知性を生かしてどんな発明だって、どんな家電製品だって生み出すことが出来ます。第一この国は前世の私の世界から100年遅れています。私を16歳に戻して下さい。そして私を学校に通わせてください。お願いします。私はこの国の発展のためにこの知性を生かして、この国の発展のためにどんな努力も惜しまないつもりです。私もお友達の王子に頼んでみますが、先ずは元の年齢に戻して下さい」


 こうしてやっとの事ワイロの力と熱意が通じたのか、16歳の一華に戻る事が出来た。また『デーモン鬼龍』閣下は、幾多の戦争で他国が攻め入って来た時に多大なる功績が有ったので現在はこの国の防衛大臣の地位にある。


 そんな『デーモン鬼龍』閣下の鶴の一声で、学校に特待生扱いで通う事になった一華。


「これだけの秀才をこの国の為に活用しなくてどうする!」

『デーモン鬼龍』閣下が会議で言い放った。そして、当然の如くこの国の大臣たち満場一致で、学校に特待生扱いで通う事に決まった。当然お友達のレイニー王子の口添えの賜物ではあったが………。




 ※ブラックカード:クレジットカードにおける最上位の券種の俗称である。なお、ブラックカードは、限度額が無く無制限で使える訳ではない。実際は上限が存在する。












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