ツテで最強!! 〜頼みの綱はコミュ力のみ。俺本当に何もしてないんだけどw〜
メタフィジカル
第1話 100から0へ
俺の名前は、
そんなことを毎日考えながら朝の情報番組の占いに一喜一憂しつつ純白の制服に身を通して一通りの朝支度を終えたら学校へ向かう。これが俺のルーティンだ。
そんな俺でも、もちろん悩みもあるわけで。クラスメイトの
決して仲が悪いとかそういう訳じゃないが、なんとなくノリが悪いというか、いつも一人でえらくタイトルの長い本を読み耽ってたり、帰りのホームルームが終わった直後一番にいなくなってたり、たまに遊びに誘ってもうんともすんとも言わない。まぁ物静かなやつなんだ。
今週の土曜日には体育祭を控えてる。今年こそ、クラス全員で一致団結して優勝する。それが今の二年B組の大半の目標なんだが、木陰はみんなが放課後まで残って大縄跳びやリレーのバトン渡しの練習をしてる時でも何も言わずに帰っちゃうから、クラスの木陰に対しての当たりが強くなってきて雰囲気も悪くなってきてる。
このままじゃ優勝どころかクラス内で
毎朝、彼女と待ち合わせしている神社まで着いたので一息つきながらスマホをぼーっと見つめていた。ふと顔を上げると向かいの歩道からフラフラ人が歩いて来るのがわかった。彼女じゃないことは確かだ。
噂をするとあれは木陰じゃないか。
あいつの家こっち側だったんだ・・・・・・。いやそんなことより今が良い機会だな。彼女にはラインで先に行くと伝えて今日は木陰と一緒に登校しよう。この時間で少しは打ち解けられるはずだ。
俺は木陰に声をかけた。
「おーい!! 木陰!! 一緒に行こうぜー」
反応がない。聞こえてないのか? 今度は聞こえるよう先ほどより大きな声で叫んだ。
「おーい!!!! こか──」
その時、木陰は道路に飛び出る形で倒れた。
急いで木陰の元まで走ったが、起き上がる様子がない。どこか打ちつけたのか?
俺は必死に木陰に呼びかけた。
「おい!! 大丈夫か? 早く立て!! 車が来るぞ!!」
木陰の腕を自分の首に回してかつごうとするが体勢が悪くてなかなか持ち上げられない。
まずいこのままじゃ本当に車が来るぞ・・・・・・。
誰か、周りに誰かいないか?
辺りを見渡すが人影すら見えない。俺は諦めずに木陰を引きずって歩道まで戻そうとしたが、判断が少しだけ遅かった。
すでにトラックが一台、猛スピードでこちらに迫ってきてた。
せめてコイツだけは──
俺は木陰を火事場の馬鹿力で歩道へおもいっきり引っ張り投げた。その瞬間、木陰の口から何か聞こえてきた。
「──としやがって」
何と言ったのか考える暇もなく時速六十キロ以上の鉄の塊が俺の全身を叩きつけるように衝突した。
トラックの衝撃で数メートル吹っ飛び、目もよく見えないし耳もよく聞こえない。まるで水中に潜ってる時のようだ。
身体の芯から湧き立つような熱さと指の先から抜けていくような冷たさを同時に感じた。
どうして大して仲良くもない奴のために命を張ったのか自分でもよくわからない。コイツより仲良い奴は沢山いるし、彼女もいる。そいつらのためなら理由もなく命を張るだろう。
ただ、強いて、強いてコイツのために命を張る理由があるとすれば俺はコイツと話をしたことがある。それだけだ。
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