金木犀
十月になると、どこから香ってくるのかわからないけど、通学路で金木犀の香りがする。特に登校のときの香りは強い。下校のときにはあまり感じたことがない気がする。
この香りは三年目の香り。新しく引っ越した先でも金木犀は香るが、こことは同じ香りでも思い出が違うせいか、違う感じがする。香りは独立して存在していない、思い出といつもセットな感じがする。
以前は、引っ越し前は、たまたま登校が重なって奴と一緒になることがあった。
秋の、金木犀の香る中、奴と歩いたことをよく覚えている。回数は覚えていない。よく覚えているから十回ぐらいあるのかもしれないが、きっと一回きりだろう。
一年間通しても、たまたまの一緒の登校なんて、五回もなかったから。
金木犀の香りの中、あたしはひとりじゃない。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます