第七話: 異世界人?と戦う二人
連中を制圧するつもりならば、当然、まず最初に狙うべきは弓矢をおいて他にないだろう。
三人一組で攻め込んできたバイキング風の戦士たちも気になるものの、やはり脅威となるのはあの強弓だ。旋風に守られた砦までは届かないと言っても、自由に撃たせていては不測の事態が起こらないとも限らない。
「
特に動きをイメージしなければ、虚空に浮かんだまま、その場で燃え続けるバレーボール大の火の玉……それが、この火の精霊術【
めったに雪と風が
更に、射出するイメージで願えば、丸い形を維持したまま真っ直ぐ高速で飛んでいく。
つまり、【
戦士ケオニの頭上を越えて弓ケオニを狙う軌道をイメージし、火球を次々と撃ち込む。
その多くは
意外なことに、連中は
火球が降り注ぐと途端に算を乱し、こちらに対する弓矢の攻撃がピタリと
「ヒヨス、月子、バイキングの方を頼めるかい?」
「バイキン――あ、はい、行けます」
「にゃっ!」
既に
……と言っても、砦の外壁を蹴るシュタッ!という軽い音が聞こえただけで、僕にもその姿はほとんど
しかし、ヒヨスが戦闘を始めたことはすぐに分かった。
「ギギャッ!?」
こちらへ向かってくる戦士ケオニの一人、向かって右側に位置する奴――仮にC――の構えた丸盾が、目に見えない衝撃を受け、いきなり腕ごと大きく跳ね上げられたのだ。
おそらくは、透明化しているヒヨスの尻尾攻撃だろう。
「
すかさず、無防備になった戦士Cの肩口を目掛け、月子が精霊術を放つ。
空気中の水分が凝結し、鋭利な五枚の花弁を持った氷片と化す、水の精霊術【
複数の
どれも決して浅くはない傷である。しかも、傷口より噴き出した血が流れるそばから凍りつき、見る見るうちにCの上半身左側を真っ赤な氷で覆っていってしまう。
腕の自由が
「ガァアアア!?」
続けて真ん中のやや後方にいた一人――戦士Aが叫びを上げる。
攻撃を喰らったCの方へ意識を傾けた一瞬の隙を
脚の後ろ、ふくらはぎ辺りを突然斬りつけられたAは体勢を崩し、そこへ
途切れることなく続く透明化したヒヨスの奇襲と月子の精密射撃の連携に、戦士ケオニたちは手に持った棍棒を振るうことさえできぬまま
そうして前衛の戦士ケオニ隊が足止めされてしまえば、後衛の弓ケオニ隊はもう
弓というのは、基本的に極めて繊細な武器であり、特に熱や湿気は大敵と言って良い。
ましてや、中世以前の
一つ、また一つと、手に持つ弓が焼かれてゆき……。
やがて、弓ケオニ隊の全員が、使いものにならなくなった弓を床へ投げ捨てた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます