帰省
私が実家についたとき、すでに親族は全員集まっていた。いとこはみんな年下で、いつも通りかなり疎外感を感じている。部屋の隅でスマホをいじりながらボーッとしていても、昨日読んだテキストの一文が頭の隅から離れない。せっかく実家に帰ってきたのだから、頭を休ませなければ。
「美琴、聞いてる?」
突然肩をゆすられ驚くと、眼の前に一番歳の近いいとこがいた。
「ごめん、ボーっとしてて聞いてなかったわ、なんて言ってた?」
半笑いで誤魔化しながら内容を尋ねる。
「明日、神社のお祭りに春奈たちを連れてってくれない?ってお母さんが」
なるほど、子どもたちのおもりってわけか。
「あーいいよ、あんたはこないの?」
「行くっちゃいくんだけど友達から呼ばれてるからそっちといくからさぁ」
「そっか、わかった。お母さんにいいよって伝えといて」
ちょっとめんどくさいとは思いつつ、気分転換にはいいんじゃないかなと、安易に引き受けてしまった。この年になってもお祭りは楽しめるだろうか。
「美琴ねーちゃん一緒に行ってくれるってよ!良かったね春奈!」
「やった〜!あたしりんご飴たべる!」
盛り上がる年下組を眺めながら、なんとなくテーブルの方によってみる。
「美琴ちゃん、ホント久しぶりだね、元気してた?」
「おひさしぶりです、めちゃめちゃ元気でしたよ」
他愛もない会話をしながら考えてみたが、私は周りからどんなふうに見えてるのだろうか。大学生とはいえど、彼氏ができたような話もないし、サークルにも参加せず、勉強ばかり。まあ、真面目という点で言えば百点かもしれない。
「勉強の方はどうなの?」
「まあ順調ではありますけど、結構きついですね」
久しぶりに話す身内は、気を使わなくてはいけない気がして、やりにくい。自分から近寄ったものの、心が折れて部屋に引きこもりそうだ。
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