〜地下迷宮レストラン〜 新米店長の誤ち編
〜地下迷宮レストラン〜 新米店長の誤ち編
「店長は、ソーサリーの学校に行ってたんですね!」
セレンは、感嘆の声を上げた。
「父の影響でね、というか無理やりにかな?」
マーヤは、レジの確認をしながら、答えた。
「店長が、ルクス・エト・ウェーリタースの出身だなんて!魔法学校のエリート中のエリートじゃないですか!」
セレンは、来年受ける学校の先輩が目の前にいるとわかり、興奮気味だ。
「わたし、ルクス・エト・ウェーリタースが第1希望なんです。」
セレンは、そういい終わると、ふと疑問が湧いてきて、マーヤにすぐさま尋ねた。
「店長は、魔法を使う仕事に就かなかったのですか?」
マーヤは、
「前は、荷物持ちのポーターだったから、魔法をよく使ったわ。浮遊とか、荷解きとかね。」
セレンは、「でも、店長が魔法を使うの見たことないです。」
と、マーヤに疑問を投げかけた。
マーヤは、
「そう?たまには使うことがあるんだけど。」
と手を止めた。
そして、
「わたしね、ここに店長として入ってから、1ヶ月目くらいのことなんだけど、お客で、ケンタウロスと、アンデッドが、すごい喧嘩をはじめてね、ケンタウロスは5人と、アンデッド8人だったの。それでね。」
マーヤは、腕を組んでセレンに向かって話した。
「わたしが追加のワインの注文を断りに行ったんだけど、ケンタウロスがこの店の壁のタイマツを、アンデッドに投げつけてね。アンデッドも、お返しに投げ返したら、違うタイマツをケンタウロスが投げて、暴動みたいになった。というか暴動かな?それで、」
「それで、どうされたんですか?」
とセレナ。
マーヤは、苦虫を潰すような表情で言った。
「あのね、私、若かったから、店を守んなきゃ!カァー!となって、攻撃したの魔法で。」
手のひらをメラメラさせながら、セレンを見た。
「どんな魔法で攻撃したんですか?」
セレンは、目を見開いた。
「インプレス・ティルビア。最大レベルの。」
マーヤは、わざとサラッと言った。
「インプレス・ティルビアって、空間にある分子を、爆発させる魔法を?最大レベルですか!大爆発を起こすやつですよね!」
セレンは、信じられないといった顔をしている。
「無事よ。お客様のみんなも、わたしもね。」
マーヤは、笑顔で答えた。
「テーブルも、天井も黒く焦げたけど、ケンタウロスと、アンデットも、火炎爆発系の魔法には抵抗力があるみたいで、効かなくてホッとしたの。周りのお客さんは、帰ってたし、私の魔法も未熟で本当に助かったわ。自分で言うのもおかしいんたげど。」
とマーヤ。
「ケンタウロスも、アンデッドも、目を冷ましてすぐ帰っていったわ。わたしも、そんなことがあってから、基本的に魔法は使わないと決めたの。」
マーヤは、思い出すように言った。
「店長には、そんなエピソードがあったなんて。だから、店長の魔法を見ていないんですね。」
セレンは納得の瞳で、マーヤを見つめた。
地下から、ポリアンナが上がってきた。
「セレンさん、おはようございます!店長、あの不思議なんです。」
首を傾げたポリアンナは、続ける。
「ポイズンジャイアントと、ドワーフがすごい口喧嘩をしていたから、店長を呼んできますと言ったら、突然、シーンと静かになったんです。なんでですかね。」
ポリアンナは、マーヤを見て言った。
マーヤは、不名誉な表情でポリアンナと、セレンに言った。
「わたしね、酔っているお客さんの間では、怒らせたらヤバい女って、呼ばれているみたいなの。ヤバいって、失礼よね。」
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