地下迷宮レストラン 《異世界ショートショート1》

柏木星凛(せいりん)

地下迷宮レストラン 《異世界ショートショート1》

~地下迷宮レストラン~


「おい、まだかよ!いつまでかかってるんだ、まったく!12階の8区127のテーブルだよ!」

せかす客の罵声。


「すみません、もう30分前に出たのですが、もうしばらくお待ちください。」


レストランのアテンダントの澄江は、泣きそうになった。


「こっちは、1時間前に来てんの!早くしろ!」


勢いよくインターホンが切れた。


今度は、店のタブレットが鳴った。

急いで、出る。アルバイトのウェトレスからだ。


「す、すみません、12階の7区までついたのですが、次の番号が、6区になってしまっていて、8区が見つからなくて。」

昨日は入ったばかりのアルバイトの高校生が泣きそうになっている。


「わかった、そこにいて。番地は、何番?」


「えーと、なにも目印がなくて、あ、43です。」


「7区の43ね。」


「わかりました。どのくらいで、来てもらえますか?」


「たぶん、15分くらいよ。急いでいくわ。必ず、そこにいて。動くと迷うから。」

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